第263話 不屈の闘志


「え、あ、彼、なんかいつの間にか獣人の国に行ってるんですけど」


 ん? 獣人の国? 一体どういうことだ?


「彼の従魔が軽く海を横断して、獣人の国に到着してますね。ただでさえ、彼単体でも機動力が高いというのに、そこに鳥型のモンスターがいるだけで全然違いますね」


 確かにそれはそうだなー。確かに彼も移動速度が速くなるスキルや、空中を歩けるようになるスキルを持っているが、それで海洋横断しようとは流石に思わないだろう。


 彼の場合は海に落ちても溺れる心配はないのだが、海の上を実体の無い足場を使って渡るなんてそんな恐ろしいことしようと思わないだろう。落ちたくないから自然と移動速度もゆっくりとなるだろうからな。


 あ、でも龍になって普通に泳いでいくことはできるな。そうすれば比較的安全にそして速やかに移動することができる。まあ、これは海洋限定だから逆に使い所はなさそうだな。


「あ、彼包囲されましたよ。確か獣人は仲間意識が強く、排他的な種族です。ですので、結構これ、やばい状況じゃないんですかね?」


「むむ」


 確かにそれは不味いな。彼ならば獣人ごとき殲滅させることはできるだろうが、それだとわざわざ獣人の国にやってきた意味がない。獣人の国で恩恵を受けるには獣人と友好な関係を築く必要がある。しかし、今はそれに逆王手がかかっている状態なのか。


「あ、逃げた」


 逃げた!? まさか、彼が敵前逃亡を選ぶとは思っていなかったぞ? 彼は背中に傷を作るタイプではないと思ってたのだが……


 あ、そうか逃げる時はちゃんと逃げ切るから背中に傷はできないタイプなんだな。ちゃんと相手の強さを見極めるのもまた強さの一つ。そう言う点に関しては彼はしっかりしているな。


「あ、捕まった、天駆を使って逃げたのによく分かりましたね、獣人さんは。って、え!?」


 え? そのタイミングで驚くことあるか? 何されたんだ? まさか、殺されたのか?


「え、先輩。この獣人、彼が囲まれているところから逃げたことからその強さを認め、自分と勝負して欲しい、と申し出たそうです。そして、断れば衛兵に突き出すという脅迫までしちゃってますよ? この人、なかなかやりますね」


 お、おぅ。確かにそれはなかなかやるな。まさか、獣人にそんなバトルジャンキーな奴がいるとは思っていなかった。彼の退路もしっかりと塞いでいることから頭もキレると見た。これは久々に彼にとっても厳しい戦いになるんじゃないか?


「え、よっわ」


 思わずモニターを覗いてみると、そこには地面に伏した獣人の姿。その獣人は立ち上がって再び戦いを挑んだ。そして、一秒もかからずに再び地面とご対面。また、立ち上がる、そして地面にハグをする。それの繰り返し。


 え、私も彼女の真似をするわけではないが、弱いなこいつ。


 その後も彼の扱きは続きに続いた。彼としても脅されている以上辞めるわけにもいかず、我々以上に混乱していることだろう。


「……先輩、もうかれこれ四十回以上続いているんですけど? なんですかこれ? あ、気絶した」


 その戦いは、彼が展開した触手が敵の血を吸ったことで、お相手さんが気絶したことによって幕を閉じた。


 自分でも何を言っているかは分からないが、これは事実をありのままに表現したものだ。何も言わないで欲しい。


 そして、決着がついたのはちょうど五十回目の手合わせだったそうだ。もし、彼が血を吸わなかったらどうなっていたのだろうか。






——————————————————

とても天気が良い日曜日、最高ですね。


皆さんはいかがお過ごしでしょうか?もうこれを読んでいる頃は日曜日が終わるという事実に対して震え慄いている頃でしょうか?


ですが、今の私は恐怖にかられることもなく優雅に過ごしております。(15時現在


はぁ、もう少ししたら私も不安に駆られてしまうのか……


どうか、♡をよろしくお願いします!!!


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