第261話 報告会(前半)


「では、只今から彼がこの一週間にわたって強化してきた称号の確認を行っていきたいと思います。今回、司会進行を務めさせていただきますのはこの私です。どうぞよろしくお願いいたします」


 この場にはとても重々しい雰囲気が漂っていた。


 彼がこの一週間ただひたすらに称号の強化のみを行ったせいで我々はとても退屈であった。代わり映えのない日々が続いているのにも関わらず、彼のみが着実に強くなっているという現実を突きつけられたから仕方のないことだろう。


 せめて、面白く強くなるか、退屈で強くならないかのどちらかにしてほしいと言うのが本音だ。


 だが、これだけは言わせて欲しい。普通、司会進行を務めさせてもらうっていう挨拶をするときは自己紹介と共に行うんじゃないか? この私です、って他人からしたら誰だよってツッコミが入るところだぞ?


 まあ、知っている人しかいないからこそのボケなのかもしれないが。


「では、早速始めさせていただきます。一つ目は狂乱の戦士、という称号でございます。これは彼がかなり初期の方に手に入れた狂乱者、というスキルが強化されたものでございます」


 というか何故、司会進行を自ら進み出て、敬語まで使っているのだろうか? 何かあったのか?


「狂乱者、はもともと痛覚設定75%以上で死ぬと得られる称号なのですが、狂乱の戦士は80%以上で大量にモンスターを倒すことで得られるようです。もちろん、他にも条件はありましたが、時間の都合上、カットさせていただきます」


 ん、怪しいな。これは単に覚えていないだけなんじゃないのか? まあ、続きを聞こう。


「続いては、自壊者というものです。これは自傷者という称号を強化させたもので、条件は自分で自分の体をバラバラにする、というものです。こんな悍ましい称号を誰が獲得するのだろうか、と思いますが、現に獲得している人がいますので何も言えませんね、はい」


 おい、今適当になったよな? 敬語も怪しかったし、もう飽きたのか? せっかく始めたんなら最後まで頑張って欲しいものだ。


「三つ目は剛身、ですね。これはぱっと見スキルのように思えますが、強化元の称号が生身、であることからも称号ということが窺えます」


 いや、誰もそこを疑う人はいないだろう。それに、称号とスキルじゃ根本的に表記も違うのだから、見分けがつかなくなる、なんてこともないと思うぞ?


「条件は初期ステータス、痛覚設定100%の状態で一定回数生き延びる、というものですね。彼の場合は初期ステータスなのか、という疑問は残りますが、なんとも都合の良い判断が下されたようですね」


 ご都合主義を地で行く男、それが彼なのか。ますます恐ろしいな。一時期、我々から情報が漏れているんじゃないか、なんて疑惑もあったが、もはやそんな疑念すら抱こうと思わない。


 何故なら、我々が知る由もないルートを開発してしまっているのだからな。


「四つ目は天誅者、です。これは非常にカッコいい称号ではありますが、元の称号は人斬り、であることからなんとなく世界観を察することができます。条件は犯罪称号を持つ人を一定数以上倒す、というものですね。これはNPCでもプレイヤーでも構いませんが、彼は全て自殺で賄ったようです」


 いや、倒す対象に、賄うってあまり使わないんじゃないか? まあ、確かにプレイヤーで犯罪称号を持っている人の方がマイノリティーだからな、仕方のないことではある。


 ってか、自殺って……いいのか? もはや当たり前に感じてきてしまっている自分が恐ろしいんだが。


「五つ目は曹長、ですね」


 曹長!? そんなカッコいい称号ゲットしてたのか? 途中からもう彼の様子を見ていなかったから把握漏れしていた。


 まさかそんな素敵な称号を手に入れるとはな……私も欲しいものだ。









————————————————————

え、暑すぎませんか?まだ七月初旬ですがこんなに暑いんですか!?


死にますよ!?それとも死んで変温無効を獲得しろってことなんですかね??


皆様も熱中症にはお気をつけ下さいませ。

部屋の中でも水分補給は忘れずに。


また、作者に死ぬなよ、って思ってくださる方は♡を、死ねぇーー!!と思われる方も♡をどうぞよろしくお願いしますm(__)m


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