第258話 茸と寿司


「あ、彼がマシンの所にようやく戻ってきましたね。とうとう、茸師匠が進化するんですね!」


 遂に、茸師匠が進化するのか……とは言っても彼が今までキノコを食べているところなんてほとんど見たことがない。進化させてどうするんだろう、という気持ちが湧かなくもない。


 まあ、ただそれでもどんな風に進化するのかについては非常に気になる。


「……お! 獲得しました! 称号名は茸仙人です! 効果はキノコを一目見ただけで、その種類と効果が判別可能になり、また食べた時の効果がそのキノコを食べた数に応じて上昇する、というものですね! これって強いんですかね?」


 茸仙人、まさか師匠から仙人へと階段を登るとは思っても見なかった。


 それに、効果も何気なく強いのだが、彼が使うかどうか、というフィルターを通すと、あれだけキノコを食べた後では当分キノコを食べようとは思わないのではないだろうか? つまり、腐り称号となる危険性がある。


「んな、彼、今の今でまた称号を強化しようとしてますよ? 流石に一日一回という制約がありますからできませんでしたが、流石、強さには貪欲ですねー」


 強さへの異常な執念とも呼べる、彼のその貪欲さ。これは彼が初めてゲームにログインした時から何ら変わらない。たまに、それから外れることはあっても、ほとんどの場合、彼の行動は強さに直結している。


 だからこそ、今の彼は、無類の強さを誇るしさらにどんどんと強くなっていってしまう。


 このモンスターとも呼べるプレイヤーに終点は訪れるのだろうか?


「あ、彼ログアウトしましたよ? すぐに称号を強化したいんですかね? それとも称号を強化しないと他のことが手につかなくなってしまうのでしょうか? どちらにせよ、これで今日の仕事は終わりですねー。ふぁー疲れた」


 今日の仕事って、彼を監視することか? 私も彼女と同じことをしているから強くは言えない。なんなら今日に関して言えば彼女は最初、少し仕事をしていたような気もする。


 まあ、基本的には一度ゲームを完成させた以上、バグを早期発見、改善することに注力する。他の仕事ももちろんあるが、我々の重要度はそこまで高くない。企画をたまに投げたり、全体のバランスを見てイベント案を出したり、とその程度の仕事だ。


 そして、このゲームで一番バグを生みそうなのが彼であって、ゲーム全体のレベルを知るにはトップを知る必要があって、彼を観察、監視しない手はないのだ。


 だから、我々が日々行なっていることは立派な仕事なのだ。


「よし! では彼もログアウトしたことですし、我々もご飯にいきましょう! もう私昼からほとんど何も食べていなくてお腹ペコペコなんです!」


「ふむ、ではたまには寿司にでも行くか」


「え、いいんですか? やったー!!」


 部下を労うのも上司の務めだ。たまには美味しいご飯にも連れていってあげないとな。


 ❇︎


「うわー! 高そうなお店ですね!」


 なぜだろう、今日は不思議とそういう気分になってしまった。特に深い理由はないのだが、逆にそれが深い理由なのだろうか。


 席に着くと、まず前菜が出された。この時点でものすごく美味しい。これだけで飯が進むほどだ。


 そして第一貫目、中トロだ。素晴らしい赤色と脂の光沢、大トロと言われても何も疑わないだろう。そのくらい立派なものだった。大きさ、厚さともに完璧で、今すぐにでも口に放り込みたいほどだ。


 そして、隣にはその欲求に絶えられず早速口にぶち込んでいる方がいらっしゃる。


「んーおいひー!」


 そう言ってくれるだけでここにきた甲斐というのはあったのだろう。では、私もいただくとしよう。


「うん、旨い」


 その後も全て一品級の美味しさで、来て良かったと心から思えるものだった。


 因みに、茸料理は一つも出てこなかった。








——————————————————

あー参考までに見た寿司動画が美味しそう過ぎて、自分で飯テロ食らっちゃいました。


皆さんの好きな食べ物は何ですか? 自分は最近食べた冷凍の(何年かぶりの)鰻が美味し過ぎて忘れられません。その前はカツ丼が好きでした。


是非コメントしていただけると嬉しいです!


目標♡数:30


どうか、ここまで読んでくださった皆様には、♡を押していただきたく思います!

お願いします!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る