第250話 管理職は辛いよ
ちょっといつもとテイストが違うのでご注意ください?
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そのモンスターは怨念という言葉がとてもぴったりとくるようだった。
それは手足が無い苦しみ、悲しみ、そして劣等感を抱いたことにより、他の人間が、他の生物が手足を所有していることを受け入れられなかった。
そして、その怨念は現実を少しずつ歪ませ始めたのだった。それこそ最初は小さな虫ケラだったのだろう。四肢を捥ぎ、集めていった。まるで自分のものだと誇示するかのように、自分だけが四肢を独占するのだとでも言うかのように。
怨念が執念に変わり、体を突き動かした。そしてその者の転機はある一匹の動物を首から上だけで咬み殺した時だった。異能に目覚めたのだ。
なんと、その動物の四肢が自分でも扱えるようになったのだ。ソレはあまりにもチグハグで異形としか形容できない姿だったが、それでも初めて手を、足を、腕を、手に入れたのだった。
そしてそこからはもう止まらなかった。いや、止めれなかった。
あまりにも肥大化し過ぎた怨念は目に入る全ての生物が立っていることが許せず、ひたすらもぎ取っていった。そしてその怨念は魔力となり、モンスターを寄せ付け、さらに捥ぐ。いつしか膨大な数の手足を所有するようになった。
それでも大嫌いな自分の醜い姿は治らなかった。
その者、いや化け物に残ったものは空虚だけだった。
どれだけ集めても集めても心の穴が埋まることは無かった。埋まるはずも無かった。次第に手足集めにも興味がなくなり、人目を避けるように暗いところへ、誰もいないところへと堕ちていった。
誰に知られるでもないその場所は次第にダンジョンが形成されていった。暗くじめじめして魔力濃度が高いこの場所を好むモンスターが沢山寄り付いてきた。その大半はゾンビや幽霊、悪魔だった。
自分の穴を埋めてあげられるのは自分しかいない。自分が欠点と思っている限りはソレはずっと欠点である。いくら真似をして他人から奪って代わりを用意しても、ソレは自分じゃない。何かで埋めようとしても、塞ごうとしても穴は広がっていく一方だ。
その事実に気づいた頃にはもう、あまりにも深い所に堕ち過ぎた。後戻りできないところまで来てしまった。
その怨念は後悔へと代わり、次第に絶望へと変色していった。
もう、自分は何者でもない。今までの自分の行いが自分を否定する行為だったなんて、知った時にはもう自分じゃなくなっていた。
この化け物を、この者を助くる者は、いつやってくるのだろうか。それまでずっと、涙を流して待ち続けている。
早く、早く僕を……殺して。
❇︎
「って言うのがこのダンジョンの説明文っていうか設定みたいですよ! 今、スイーツ買ってくるついでに作った人に聞いてきましたよ! あ、これ請求書ですね。経費で落ちるんですかね?」
え!? 軽っ!?
結構重たい話だったよ? それをサラッと流して、スイーツに請求書!? そっちの方が大事なのか? そして挙げ句の果てには経費で落ちるかって?
落ちるわけないだろう!
「はぁー……」
「んー、どうしたんですか先輩! 何か嫌なことあったんですか? そんな時にはこの絶品とろけるホイップクリームモンブランがおすすめですよ! んーっ、おいし!」
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あー自分で書いててモンブランが食べたくなりました。(現在3:20ですw
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