第245話 ほぼ無限の可能性


「この短時間で九つの特性を作るなんて尋常じゃないな。それでどんな内容なんだ?」


「はい。まずは一本一本を単純に大きく太くするという、巨大化、ですね。これはシンプルに強いといったところでしょうか? 圧倒的体積はそれだけで大きな武器となりますからね」


 巨大化か。確かに無難に強いな。どれだけ巨大化するかにもよるだろうが、大きな触手が襲ってくるって考えるだけでも恐ろしい。


「次は毒ですね。彼が扱える毒、壊毒を触手につけることができます。先端だけにつけたり、触手全体につけたりとカスタムも自由となっております」


 ほう、毒か。やはり彼にとって毒というのはもはや馴染みの深い存在なのだろうな。私も自分なりにどんな特性をつけてみるか考えてみたのだが、毒というのは思い浮かばなかったな。しかし、触れさせるだけで相手を壊毒状態にさせられるのだからかなり強力だろう。


「そしてここからは一気に行きますね。硬くなる、鋼。見えなくなるまで細くできる、糸。切れ味が鋭くなる、斬。ただネバネバする、粘。色が変わる、色。ひとまずこのくらいでしょうか、あと二つ残っていますが、これらは一般的にイメージしやすい特性になるのかなと思います」


 ふむふむ、確かにそうかもしれない。それにしても改めて聞いてみると強く感じるな。こんな様々な特性を付与されて色んな角度から攻撃されてしまっては、相手の対応も忙しく大変になってしまう。


「となると、残り二つも気になるな。一体どんな特性なんだ?」


「はい、それなんですが、一つは吸血で相手の血を吸うというものです。確かに触手の特性としては珍しいですが、吸血鬼にもなれる彼のことを考えるとなかなかにシンパシーがある特性だと思われます。血を使うスキルも所持していますしね」


 ふむ、確かにこれは毒同様、彼ならではの特性だろうな。言われてみれば相性抜群だが、普通の人ならばそれを思いつくこともなければ、する必要も無いため、実現にはいたら無いのだろうな。


 だが、ここまで来ると最後の一つというのがますます気になるな。


「そして、最後の特性なんですが、実はこれほとんど特性じゃ無いんです」


 ほとんど特性じゃない!? それはどういうことだ? もはや特性の域を超えて強力な特性、ということか? 全く意味が分からない。早く教えてくれ!


「最後の一つは、盾、という特性でございます。特性っちゃ特性なんですが、もはやほとんど操作に近いんですよね。多くの触手を眼前に集結させて、一つの盾にする。ってだけのようです。一応おまけとして硬くなったり一つになったりはしているので、一体化と鋼の合わせ技みたいなものですね」


 なるほど、そういう意味でのほとんど特性でない。ってことだったのだ。安心したような少しガッカリなような……


「ん、特性の合わせ技といったが、これらの九つを合わせることはできるのか?」


「はい、もちろんできますよ! というかむしろそれが醍醐味、みたいなところもあるでしょう! 糸と斬で見えないけど通ったらバラバラになるトラップとか、巨大化と鋼でただの巨大バットとか、組み合わせは無限大ですよ! いやー、彼は本当に面白いですよね!」


 え、あ、うん。そうだな。


 最後の特性が思ったより普通でガッカリだとか思っていたが、全然ガッカリじゃない。むしろアレで良かった。特性の掛け合わせとかもはやチートレベルだろ。もう、誰も止められないんじゃないか?


「あ、そうだ。彼は一度に何本まで触手を出せるんだ? それも特性と同じくらい重要だと思うんだが……」


「えーっとさっきは少なくとも二十本は同時展開してましたね」


「二十本!?」


 こりゃダメだ。






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この話の元になった本編の方を少し変更しました。本当に少しで一文字しか変わっていないんですがw


もし、覚えている方がいらっしゃいましたら、一瞬だけ違和感を覚えたかもしれませんね笑


あと、数学ができる人、触手の全通りがいくつになるか教えてくださいませ。

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