第244話 共感性羞恥


「あーあ、結局何事もなく終わっちゃいましたね!」


 だから言ったのだ、フラグを無闇に立てるでないと。まあ、実際は口に出してないから私がこんなこと思う道理もないんだがな。


 それよりも彼女は何故少し嬉しそうなのだろうか? 何か良いことでもあったのか?


「あー、でもこれでまた心臓を手に入れて強くなっちゃいますね。獲得するスキルはもう分かっているようなもんですけど」


 ん、でも彼が心臓を手に入れることは不服なのか? 分からない、この人の考えはいつまで経っても分からない。


「あぁそうだな。十中八九、触手に関するスキルだろうな」


「そんな誰でも分かるようなことドヤ顔で言うのやめて下さい! こっちが恥ずかしくなるじゃないですかー」


 え、そんなにドヤ顔だったか? って、それが恥ずかしいことなのか? そしてこれがいわゆる共感性羞恥というものなのか!? ……解せぬ。


「あ、研究室に到着しましたね。……やはりスキルは触手、でしたか。効果を確認しますね」


 おっと、ダイレクトに触手だったのか。ぼやかしていて正解だったな。だが、触手ってどんなスキルなんだ?


「効果は、触手を任意の数だけ発生させ、消費MPに応じて、数、太さ、特性を変更可能できるようです。長さは決まっているが熟練度に応じて伸ばすことが可能、とのことです。あれ、思ったよりも強いですね」


 確かに、思ったよりも自由度が高いから強そうに思えてしまう。


 しかし、自分の体から触手が生えてくるとしてもそれをどう扱うのだ? 新たな感覚器官が生まれるということでもあるのだろう? 扱いが非常に難しそうだ。


 新たな器官という点でいうと人間の体に翼を生やす。というのがイメージしやすいだろうが、それは既に人間に存在する肩甲骨に連動させることで擬似的な再現に成功している。


 でも触手というのは体のどこからでも生やせるだけに操作が難しくなりそうだな。


「……ん、特性?」


「はい。やはり先輩も気になりますよね。これは、例えばネバネバするであったり逆に硬くなったりと色んな属性を付与できるようです。これをあの悪魔が使ってくれていたら彼を多少は苦戦させられたかもしれませんね」


 なるほど、確かにそれを使われればかなり苦戦したかもしれないな。


 そして、彼がこのスキルにどれだけの可能性を見出すかがこのスキルの強さに比例すると言っても過言ではないってことだ。


「彼はもう特性を作っているのか?」


「いや、流石にそれは早すぎますま……あ、作っちゃってますね」


 やはりか、流石に彼もこのスキルの有用性には気付いているのだろう。そもそも触手が生やせるだけで強力というのにその特性までも弄れるとなれば、使わない手はない。


「え、え!? ってか、もうすでに無茶苦茶作ってますよ!? 彼、使ったことあるんですかね?」


 いや、流石にない、はずだ。いかに彼と言っても同じ人間なのだからな。だが、もしかしたら、と思わせられるというのもまた事実だ。


「えーっと、一、ニ、三、…………九!? もう九個も作ってますよ!?」


 きゅ、九個だと!? この短時間でか?


 や、やっぱり彼は現実でも触手を使っているんじゃないのか?







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ふっふっふー、読み直したぜい!(当たり前


一つ誤字を見つけました!

それに推敲もできるのでこれはやるべきですね!(当たり前

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