第242話 必ず強くなる彼
「やっぱり一瞬で倒しちゃいましたね。男爵級の悪魔ではもはや相手にもならないってことですか。今の彼を止めるにはどれくらいの爵位が必要なのでしょうか? まあ、仮に爵位があったとしても実力がなければ無理ですが」
まあ、そうだな、せめて公爵級はいるんじゃないか? まあ、悪魔の爵位がひとつ変わるだけで相当強くなるから、公爵じゃなくても良い戦いができるかもしれないが、それを踏まえた上で公爵クラスがあれば大丈夫なんじゃなかろうか。
だが、まあ彼の場合はどんなに強い的であっても、それを目の前に死ぬことができるからな。一度しか死ねない敵と死んでからが本番の彼ではそもそも土俵が違う。
無限に死ねるプレイヤーでさえ、死ぬのは嫌だというのに……
「あ、彼が研究所に帰って来ましたよ! ほんと、男爵級悪魔の討伐がピクニック気分って頭おかしいですよね、いい意味で」
いい意味での使い方を完全に間違えていると思うのだが気のせいだろうか。頭おかしいを相殺したかったんだろうが、全くうち消せてない。むしろ、際立っている気さえするぞ。
「あーでも、ここに来たってことはもちろん心臓を持って来てるってことですからねー。心臓を持って来てるってことは何かスキルを手に入れられるってことですよ、彼は強くなる以外のことができない病にでもかかってるんですかね?」
ふふっ、それはあながち間違いではないのかもしれない。強くなること以外ができないと言うより、全ての行動が強さに繋がっていると言っても良いだろう。まあ。同じ意味なんだがな。
実際は決してそんなことないのかもしれないが、そう思ってしまうほど、彼の成長率には恐ろしいものがあるのだ。
「あ、とうとう解析が終了しましたね。えーっとスキルは……ぼったくり?」
「ぼったくり?」
え、それがスキル名と言うことなのか? ん、ぼったくりってどう言うことだ?
「え、えーっとこのスキルはですね、効果が……相手と数字のやり取りをする際に、より多く受け取ったり、少なく払ったりすることができる。また、効果は相手と自分との戦闘力の差が離れていればいるほど大きくなる、というもののようです。え、これ強いんですか?」
相手との数字のやりとりをぼったくるってことか? それって商売とか売買が発生するタイミングでしか使うことができないんじゃないか?
珍しくこれは彼の強化に繋がらなかったな。私が散々フラグを立てたからだろうか? まあ、ともかく、人の不幸を喜ぶわけではないのだが、強くならなかった、というのは我々からすると喜ばしいことではあるからな。素直に喜んでおこう。
「ん、ちょっと待ってください先輩! この相手との数字のやり取りって、もしかして商売だけじゃないんじゃないですか? それこそ戦闘も言ってしまえばダメージを関する数字のやり取りっていえますよね?」
「……ま、まさか?」
もしそうだとしたら結構やばいんじゃないか? 戦闘力の差によってぼったくりやすい状況で、彼のそもそも強力な攻撃をぼったくられるってことだよな?
「え、これって結構強いんじゃないか?」
「そ、そのようですね……」
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