第238話 何気に説明されてない技
「あ、あれ? そういえば仙術って自分で作るだけじゃなくて師匠は他の仙人達からも技を伝授してもらうことができますよね? ってことは……」
彼女がまた彼の恐ろしい事実に一つ、気づいてしまったようだ。
「はぁ、やっぱりそうですよねー。そりゃ他の仙人からも技伝授してもらえる可能性があるのに、自分の師匠から技を貰わないわけがないですよねー」
彼女は半分ヤケになってそう言った。
仙術とは、自分で技を生み出したり、他の仙人から引き継いだりすることができる。一見、自分で技を生み出せるというのは強力かつ魅力的に思えるかもしれないが、それを実現するにはかなりの地道な努力が必要になってくる。ゲーム内でそれを実行するのはかなりの苦行だろう。
それの解決策として用意されているのが技伝授というシステムだな。自分好みの技を作ることができない代わりに、世界中に散らばっている先人達の努力の結晶を頂くというものだ。
これは一から技を作るのに比べて、仙人を見つけ出して、技を教えてもらえるくらいに仲良くなる、というだけで良い。まあ、それもそこそこ大変ではあるのだが、前者に比べれば幾分かはマシだろう。
そして、これを踏まえた上で彼を見てみると、彼はものの数分で技を自力で編み出し、更に自分の師匠から技を貰いすらしたのだ。
彼からしてみればできることをただしただけ、という感覚なのだろうが、こちらからしてみると結構な無茶苦茶を押し通されている気分だ。後輩の気が乱れるのも仕方がないだろう。
「それで、彼は師匠さんからどんな技をもらったんだ?」
「は、はぃ。彼はですね、千里慧眼という技を得ているようです。効果はある対象をマーキングすることでどんなに離れていてもどこにいるか察知できる、という技のようです。師匠はこれを彼に使って様子を観察していたようですが、本来は敵に使う技だと思われます」
なるほど、敵に使うことで敵の意図を把握したり、それによって先んじて手を打つことができるというわけだな。確かに強力だな。それに何よりの強みはこの技を使っても相手に気づかれない、というところではなかろうか。
師匠も彼に使っていた、にも関わらず彼には気づいている様子がなかったからまず間違い無いだろう。
対象の実力が自分より上だったり、この技に対抗する手段があれば話は変わるだろうが、それでも最初の段階で気づかなければまず不可能だろう。
もしかしたら自分の軍にスパイがいるんじゃないかと疑心暗鬼になってしまうかもしれない。非常に面白い技だ。
「あ、師匠の前から彼が逃げましたよ。自分が作った技を早速使って。彼は師匠に毒ラーメンを食べさせたり、逃げたりと、師匠のことが嫌いなんですかね? それとも嫌いは好きの裏返しという反動形成なのでしょうか?」
反動形成、それは自分の受け入れ難い感情が故に強い反発心を生むことだな。好きなのに嫌われるような態度を取ったり、逆に嫌いなのに親切な行動を取ったりすることだ。誰にでも経験はあると思う。
だが、反動形成っていうのはある種、メンタルの防衛本能みたいなものだぞ? 彼がメンタル的に落ち込んでいるようには一切見えないのだが?
彼が師匠を嫌うとしたら、もっと単純な、それこそ何か嫌なことをされた、みたいなことだと思うのだがな。
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本編ではほとんど仙術は使われてないですよね…笑
個人的には結構好きなので使っていきたいですねw
本編で仙術を使うくだりが急に出てきたら、これをお読みの皆様はお察し願います笑
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