第231話 自分で褒めるスタイル
「え、進化した?」
「はい、ポイズニシャンタートルからヴェノマスタートルに進化しましたね」
ん、ん? ポイズニシャン? ヴェノマスター? ちょっと待って今回もいつもと同じようにツッコミどころが多いな。
「え、あの亀ってポイズニシャンだったか? 私の記憶だとポイズニストだった気がするのだが……」
「先輩、小さいことを気にしすぎると禿げますよ? それにポイズニストがいるならポイズニシャンがいてもおかしくないでしょう? つまりはそういうことです」
……どういうことだ? 全く意味が理解不能だ。
「あ、ヴェノムは毒とかそういう意味でそれにマスターだから毒師匠、毒マスターって意味になりますね! なかなか良いセンスしてますよねこの名前をつけた人は」
そう言って彼女はドヤ顔をして褒めて欲しそうな顔つきになった。もしかして、この名前は彼女がつけたものなのだろうか。だとしたらなんとしてでも褒めたくはない。先輩としての最後の尊厳を保つ方法がこれしかないのだ。だから許してくれ。
「あれ、何故か彼空中に飛び出してって、あ。蜂を撃墜してカメちゃんに餌やりしてますね。現地調達現地消費をしている、まさしく地産地消の素晴らしい構図ですね!」
いや、側から見たらただ蜂を落としまくってそれを亀が食べているという狂気的な絵面にしか映っていないのだが。それにしても進化したというのに、まだ毒を与えてさらに進化させるつもりなのか? 彼の向上心は従魔たちにも向けられるのだな。
「あ、次はサソリを狙いに付けましたね。でも、サソリにはカメちゃん一人で戦わせようとしてますね。一人で大丈夫なんですかね?」
亀と蠍かー。現実世界ではどうなんだろうな。大きさ的に考えると、亀の方が基本的に大きそうなイメージはあるのだが、蠍が毒を持ってたら蠍が勝つだろうな。
でも、今回の場合は亀の方も毒を持っているからなー。いや、でも普通にゲームの世界で考えると、蠍は結構強めのモンスターとして出てくることが多い。ということは総合的に見て、やっぱり蠍が勝ちそうだな。
「あれ、もう終わっちゃいましたね。カメちゃんのボロ勝ちじゃないですか。毒による攻撃で一発って、なかなかやるじゃないですか。流石は彼が目を付けただけのことはありますね」
な、私の予想は何だったんだ? まあ、彼女曰く私が予想を外すのは当たり前でもし当てたらその次の日は雷雨が訪れるらしいから、なるべく当てない方が良いのかもしれないな。
「あ、彼がスキルを使いましたね、魔除けというスキルなのですが、カメちゃんに戦わせなくて良いんですかね? え、ん? なんかちゃっかりスキルゲットしてるんですけどこの人」
え、どういうことだ?
「暗いところに長時間いたからか夜目というその名の通り夜目が効くようになるスキルと、抗魔燈という、魔除けの上位互換のスキルを手に入れましたね。ほんと、どれだけスキルと称号の神に愛されれば彼も気が済むのでしょうか?」
全くその通りだな。
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寝不足。。
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