第225話 前述のワニ
「あ、ここまでくれば流石に分かりましたよ。アクアリウムなんて考えていた私が浅はかでしたね……」
彼はカメから始まり、ワニ、ムカデ、ウシ、ヘビ、そしてバッタを海底の下に作った空間に運び込んだ。しかも服従をしていない状態で、だ。
そう、彼女も気づいたようだが、彼は蠱毒というのをこのゲームの世界で、大規模に再現しようというのだ。
では一体ずつ説明をしていこう。
まずはワニだな。その名をギフトアリゲーターと言う。猛毒を牙に仕込んでおり、その強力な噛む力と相まって壮絶な破壊力を生み出す。
また、これは有名な話ではあるかもしれないが、ワニは噛む力は強くとも口を開ける力はそこまで強くないため、一度口を塞がれて仕舞えば勝機はかなり薄くなるだろう。
次はムカデだな。コイツの何よりの特徴はその大きさだ。本来のムカデの何十倍の大きさを誇っており、前述のワニの大きさを余裕で超えてしまう。その反面、小回りが聞かなくなってしまうのをどうやってカバーするのかが見所となるな。
続いてはウシだ。牛が毒を持っていると言うのはあまり想像がつかないのだが、この牛はどうやら角から毒が分泌されるようだ。それによって突きと同時に毒を与えるという前述のワニのような攻撃が可能となる。
更にこの牛は、本来乳が出る部分からも毒を噴射できるので遠距離攻撃も可能となっている。しかし、角度的に全方位を狙えるわけではないため、どのように活用していくかが注目ポイントとなる。
そしてヘビ、コイツは毒の持っているイメージが強い生物ではあるものの、決定的にイメージと違う特徴がある。それは、全長がかなり短いと言うことだ。
現実世界の蛇と比べれば1.5メートルと言うのは結構長いが、この蛇の頭に比べてかなり体が短いのだ。しかも周りには大きな動物たちがたくさんいるため。この体格差がどのように響いてくるかが見物だな。
そして最後はバッタだな。私はバッタである、と言ってはいるものの、それは分類上の話であり、見た目はそのイメージとだいぶかけ離れてくる。
言うなれば、バッタを三体、ゴキブリを七体足して十で割った感じの見た目をしている、と言えばいいだろうか。つまり、ほぼGなのだ。そして先程の蛇とは逆にコイツはかなり大きい。そう入ってもヘビと一緒くらいなのだが、本来の姿からはかなりの大きさに見えるだろう。
コイツのことを他の生物がどう思っているかは知らないが、一番人間に精神的ダメージを与えら得るのは間違いなくコイツだろう。
以上の五体に加えて、最初のポイズニストタートルが加わった六体によって蠱毒が行われるようだ。
はっきり言って、このようなことは私自身したことも見たこともないので、気になっている。大怪獣同士の戦闘と言うのは、男であればいつになっても興奮するものだろう。
さて、下馬評はどうなっているだろうか。
「なあ、どのモンスターが勝つと思うか?」
「先輩から私に聞くなんて珍しいですね。それだけ気になってるんですね。んー、私はワニですかねー。単純にそもそもの地力の差が出そうです」
「なるほど」
確かに、その考えは間違っていないだろうな。ワニは最有力候補であるだろう。だが、私は、あえてムカデを推そう。大きいというのは正義だからな。
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