第224話 コドクリウム


「ん、先輩。彼が『触るな危険! 超凶悪毒モンスター図鑑』というものを手に取ったのですがこれは大丈夫なんですかね?」


「ん、なんだって?」


「だから、『触るな危険! 超凶悪毒モンスター図鑑』、ですよ!」


「おー、よく言えたな」


「揶揄ってるんですか?」


「いや、心から本当に噛まずによく言えて凄いなと思っただけだ。にしてもなぜ毒殺料理人になって毒を作れるようになったのにも関わらず毒モンスターに興味を持ったんだろうか?」


「毒を作れるようになったからこそ、自分の毒がモンスターでいうところのどのくらいなのかを知りたくなったんじゃないですかね?」


「確かにそれはあり得るな。何事も自分を知るというのはとても大事なことだからな」


「ん、早速モンスターのところに向かうようですね。えーっと、そのモンスターはどうやらポイズニストタートルのようです」


「正しく、毒モンスターといった感じだな。ん、何故接敵したのに戦わないのだ?」


「あれ? 彼がどっかいっちゃいましたよ? 敵を前にして逃げるなんて、どういうことでしょうか?」


 これは逃げるとは少し違うような気もするが、本当にどこにいくつもりなんだろうか?


「え、海!? 彼は海のど真ん中で立ち止まりましたよ!?」


 海のど真ん中で立ち止まるって表現がすごいことになってるが、まあゲームだからなんでもアリだな。


「あ、潜りました! そして、え?」


 彼は海底に穴を開けた。


「え、ちょ、はい? 何やってるんですか彼は! 一体これはどういうことなんですか?」


 ……これに関しては私も尋ねたいところだな。なんで海底に穴を開ける必要があるんだ?


「あ、彼が中に入って従魔に凍らせて塞いじゃいましたよ? ってか氷で塞いでも溶けるんじゃ……って、中をさらに爆発させましたよ!? 彼、一体全体どうしちゃったんですか!?」


 彼がダイナマイトボムを使ったことにより、そこには広い空間が生まれた。海底なのにも関わらず、水の入っていない、広い空間が。


「従魔を呼び出しましたよ、今から何をってどうやら整地をさせるみたいですね。未だかつてこのようなプレイヤーがいたでしょうか。海底のそこに空間を作りそこを整地させるなんて……」


 だが、彼がそれを行ったおかげでとても広くて綺麗な空間が生まれた。だが、まだ彼の意図が見えない。ここで一体彼は何をするつもりなんだ?


「あ、彼が外に出ましたね。……ってもう戻ってきましたね。ん、手にはさっきのポイズニストタートル!? もしかして海底の下にアクアリウムでも作るつもりですか?」


 ん、待てよ。彼がさっき見ていたのは毒モンスター図鑑。そしてアクアリウム……


「もしかして、蠱毒?」

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