第173話 アイスの技まとめ


「え、このワンコ本当に強すぎじゃないですか? こんな見た目詐欺アリですか?」


「た、確かにこれはあまりにも強すぎるな。もう、見た目がどうとかそういう次元をお超えてしまっている」


「ちょっと一旦、このワンコが使える魔法を纏めてみますね」


 そんな、まとめられるほど様々な魔法が使えるのか……それにしても行動や仕草からしてどうみても子供なんだが、これは成長したら一体どんな強者になってしまうんだ?


「はい、纏めましたよ。まず一つ目はですね、アイスコフィンですね。氷の棺という名の通り、相手を氷漬けにしてしまいます。棺に入った相手はまるで氷像のようです。しかも、この技の発生速度もかなり速く、これを使われてしまうと、ほとんど避けようがないんじゃないですかね?」


「ほぅ……」


 一発目からヘビー級だな、おい。名前もかっこいいし、技としても強力、可愛げなんてどこにもないな。あんなに可愛らしい見た目をしているのに、こんなことされたらひとたまりもないだろう。


 もし、仮にこの犬に単騎で向かわせたら女性プレイヤーは確実に堕ちてしまうのだろうな。


「次行きますね、次はブリザードバレットですね、直訳すると猛吹雪の弾丸ですが、氷弾の嵐と言ってもいいかもしれません」


 ん、その二つなカッコいいな。もしかして後輩はネーミングセンスもあるのか?


「これは氷の礫を飛ばす魔法ですね。使っているのを一度しか確認できていませんので、細かな仕様は確認してみたいと分かりませんが、その一階では、敵の背後に魔法陣を出現させて発射させていました。一度にかなりたくさんの弾丸が射出されていましたので、対多数用だと考えられ、奇襲や牽制など、かなり使い勝手の良い魔法だと思われますね」


 うーん、効果もかなり強いなこれは。名前だけでなくてしっかり技自体もかっこいいのはポイントが高いぞ。


 それに先程のわんちゃん囮作戦で、仮に複数の女性客がきてもこれで対応可能ときた。これは素晴らしいトラップになりそうだ。


「そして次なんですが、さらに複数、それこそ数十、もしくは百にも対応できるほどの大技になりますね。それがアイシクルレイン、氷の雨ですね、凍てつく豪雨と言ってもいいかもしれません」


 え、さっきからなんなのその二つ名、とてもかっこいいんだが? でも、どう考えても豪雨とか言ってないよな? レインというのが雨っていう意味なのは私でも知っている。決して豪雨ではなかったはずだ。


 これは彼女も少し遊んでいるのかな?


「これは大量の大きな氷柱が落ちてくるという、シンプルでいて非常に強力な技ですね。それぞれかなり時間差で降ってきますので、運が良ければ全て躱すこともできるかもしれませんが、ほとんどが死んでしまうでしょうね。また、避けられても上記の技と組み合わせることで、撃ち漏らしもかなり防げるでしょう」


 うわ、えげついな。これで複数どころか団体客にまで対応できるのか……これはもしかすると討伐隊が組まれるかもしれないな。


「先輩。これだけでの技でも凄い強力で、死角が無いように思えますよね?」


 うん、もうどんなパターンの組み合わせのお客さんでもイチコロだ。


「ですが、この技を耐えうる敵が来たら、どうしますか?」


「はっ!」


 確かに不味い。今までは一般女性をターゲットにしていたが、確かに鍛えているゴリゴリマッチョな女性客が来たら対応できないかもしれない。流石にそれは盲点だった。


 だが、そういう人ほど動物に癒しを求めている可能性はあるからな……


「ですが、安心してください。そんな敵にも対応できる技がこれからに控えているのです!」


 な、なんだって!?

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