第170話 掘削作業と救出方法

レビューをいただきました!!

こちらもジワジワと読者が増えているのでとても嬉しいです!!

これからもよろしくお願いいたしますm(_ _)m

——————————————————


「……彼、一体何をしているんですかね」


「穴を掘っているのだろう」


「いや、そんなことは見たら分かりますよ! なんで穴を掘っているんだ、って話ですよ!」


「囚われた人たちを解放する為じゃないのか?」


「はぁ……いや、まぁそうだろうと思いましたが本気でやろうとしてるんですかね? 脱獄しようとする人でも何十年掛けて穴を掘るんですよ? そんなすぐにできるわけないでしょー」


「いや、その脱獄しようとした人たちはあくまで限られた時間で、限られた道具で行っているから時間がかかるのであって、別に何を使ってもいい、どれだけ時間がかかってもいい彼なら案外すぐ終わるものなんじゃないか?」


「いや、それでもー、囚人たいで何十年単位ですよー? 少し道具と時間があるからって年はかかるでしょー」


「いや、彼はそもそもこの世界では人を超えた力を持っている。道具、時間、そして力この三要素が綺麗に揃っているからな。囚人では考えられないほどのスピードが出るかもしれないぞ?」


「って、この人、素手で掘ろうとしてません!? そんな無茶な! って、流石に剣を使い始めましたね。でもこれでもツルハシとかじゃないからキツそうですけどね」


「ふむ、確かに。これは良い道具とは言えないからな。ただ、これも現実世界とは違って攻撃力を持っているからな。逆にこちらの方が早く掘れるかもしれないぞ?」


「あ、」


「ん? どうしたんだい? 彼はみたところ何も変わっていないようだが……? ん、掘るスピードが上がってないか?」


「はい、彼がなんと称号を獲得していたんです、私たちが呑気に議論してる間に」


「何!?」


「そうなりますよね。称号名は炭鉱夫で、効果は穴を掘るスピードが早くなり、スキル、脆弱化を取得するようです」


「脆弱化? それは一体どう言う効果なんだ?」


「いや、考えれば分かりますよね? 名前のまんまのスキルですよ? 対象の耐久値を下げるという効果です。しかも熟練度比例型です」



「そ、そうかー」


 ただでさえいいペースに見えた彼の穴掘りが、これによって更にペースアップし、脆弱化でどんどん削っていった。


 これはもう、開通まで待ったなしだな。


「ん、ってか彼はどうやって囚われた人たちを外に出すつもりなんでしょうか?」


 確かに、彼は今のところ牢屋から真横に穴を堀り、そのままかなりの距離を確保してから上に向かって穴を掘っていった。


 衰弱し切った人たちに長時間歩かせるだけでもキツイだろうに、更に垂直に登れとなると、いよいよ無理な話だ。


 一体、何を考えているのか、それとも何も考えていないのか。


「え! こ、こんなのありですか!!??」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る