第165話 武器と彼の特異性
彼がナイフとチェーンの敵を倒し終わった後、再び彼は接敵することとなった。今度の敵は斧とチェーンを持った敵だ。
チェーン多くないか? そんなに好きなのかチェーン? そこまで使い勝手が良さそうにも見えないし、見た目がかっこいいわけでもないだろう?
これはあれか? だいぶ前に流行ったヤンキーの格好のボンタンズボンとかそういう類か? 見た目云々じゃなくて、もうそれを使っていることがカッコいいと認められてしまっている、的なことか?
だって、大昔のヤンキーの格好はどう考えても格好良くは無いからな。あれをどうやって世のヤンキーどもに普及させたのか、むしろそっちの方が気になるくらいだ。
ん、何か会話をしているようだな。何を話しているのだろうか。もしかしてチェーンの良さやなぜ広まったのかについて話を聞いているのかもしれないな。
……いや、無いか。そんなどうでもいいこと敵地で聞くアホはそうそういないよな、うん。
そして戦闘は唐突に始まった。しかも先程の敵よりかはチェーンの扱いに一日の長があるようだ。常に攻撃の手を緩めず、斧で大ダメージを狙っているのだ。
それに対して彼は、見慣れない武器であるチェーンに少し手間取っている印象を受けた。鎖状であるため剣で受けることもできず、かといって長いそのリーチで避けても負われてしまう。
これは彼の対処が気になるな、そう思った時だった。
彼はなんと、チェーンの先についている重りを剣で弾き始めたのだ。それほど大きくない重りを正確に弾き続けているのだ。
そのままどのくらいの時間が経過していたのだろうか、彼はパリィというスキルを獲得していた。
これは比較的有名で、一般プレイヤーにも普及しているスキルだな。敵の攻撃を弾いて決定的な隙を生み出すことのできるものだ。
だがその実状は若干違っていて、いや違わないのだが、このスキルというのはかなり使い手の技量に委ねられるのだ。隙が必ず発生するわけではないし、その隙の大きさも弾き方によって変わってくるのだ。
そして彼は、ずっとパーフェクトを取り続けている。
パリィというスキルは成功時に元の体勢に自動で戻るという仕組みがある。彼はスキルを獲得する前からパリィをしていたから、スキルありだと随分とやりやすく感じていることだろう。
そしてもう間もなくその戦闘は終了した。彼が敵の脳天に剣を刺したのだ、なんの躊躇いもなく。
やはり彼は普通の人間では無いのでは無いだろうか? 特殊な訓練でも受けていない限りあんなに思い切りよく、なんの心の準備もなしに人間の姿をしたものを刺せるか?
特殊な訓練を受けていた、あるいは、特殊な環境に長い間いた、という可能性も出てくるな。
今までは敵がモンスターだったから分かりにくかったが、相手が人間となると、また違って角度からその特異性が垣間見える、というか丸見えになる。
そういえば門番も瞬殺していたよな……恐ろしいことだ。
私が軽く恐怖に襲われている間、彼はまたすぐに別の敵に遭遇した。その敵はなんと……
チェーンの二刀流であったのだった。
「え、二刀流!?」
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