第164話 開幕罵倒
ん、次に彼が転移した場所はどこだ? 石造の建物見えるが、お城ってほど豪華な感じもしない。これは……
「あっ、あ!?」
なんと、彼が門番に止められたと思った瞬間、彼がその門番を斬り伏せてしまったのだ。もし、これが本当に王城であったらどうするつもりなのだろうか。
私と同じように、王城っぽくはない、という判断を下したのか? それにしても今までの彼に比べて余りにも思い切りが良すぎたような気がするんだが……
え、後輩はどうしたのかって? そりゃあ私がスイーツを奢ってあげてそのまま眠くなったのか、午睡室に入ったいったよ。
日中の生産性を上げるために私たちは午睡、つまり昼寝を推奨してるのだが、それは別に血糖値が上昇した時に生じた眠気を解消する目的で作ったんじゃない。言うなれば彼女はサボりだ、うん。
まあ、実際は徹夜明けの休息に使われたり、家に帰るのが面倒臭いという人の為に門戸は常に開かれている。寝てスッキリするのならば存分に寝てもらいたいものだ。
それで、なんだったっけ? あ、彼の転移先だな。今の無駄話中に調べておいたんだが、なんとここは盗賊のアジトらしい。
かなりの規模で、建物も非常に豪華だ。コイツらは相当儲かっているのだろう。
この盗賊団のボスを倒せば次の階層に迎えるのだが、建物ということで構造が入り組んでおり、ボスに到達するまでに必ず雑魚敵に出会ってしまう。それも何度もだ。
それをいかに消耗せずに切り抜け、そして迷わずにボスにたどり着けるかがポイントだな。いくら消耗しなかったとしてもそれまでに時間がかかって仕舞えば意味はないからな。
お、どうやら彼が接敵したようだ。彼は隠遁を発動していたのだが、一度曲がり角まで戻り、そして隠遁解除、そのまま敵の前まで行き……
「え?」
急に物凄いスピードで相手を貶し始めたぞ!?
こ、これは一体どういうことだ? そもそもなぜ相手の前で姿を見せる必要があったのかも気になるし、それに加えてなんで、会話する必要があるんだ?
もしかしてずっとソロでしゃべり相手がずっと欲しかったとかか?
いやでもその割にはすぐ戦闘が開始された。彼が剣一本に対して相手は不細工なナイフとチェーンの先に分銅のようなものがついた武器を持っている。
得物的には彼の方が不利なように見えるが、流石に地力、ステータス面では彼が圧倒しているだろうから、負けるはずもない。
あ、倒した。なんかあっという間だったな。むしろ前置きが長かったように思えるほどだ。彼が相手の思惑通りには動かず、逆に敵は彼の思惑通りに動いてしまった、という感じだったな。
まあ、二択を当てただけなんだろうが、彼がまるで未来でも見えているような戦い方だったな。これをプレイヤー相手にされたらたまらないだろう。
あ、もしかして彼、ここで対人戦の練習をしているってこと!?
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