第159話 一瞬の空白
「おー、流石に彼でも結構キツそうですねー。もう、私ですら何体いるのかもわからないくらいいるんですからね。電撃無効で、電磁波を受けてもいいと言うのは大きいですが、それを受けてもなお余りある物量が彼を襲っています。これは捕まるのも時間の問題じゃないですかー?」
彼女が嬉しそうで何よりだ。まあ、自分の作ったステージでプレイヤーが楽しんでくれている、いや、苦しんでくれている、というのは製作者の冥利に尽きるだろう。
……本当にそうか? 我々は苦しめて喜んでいいものなのか?
「さあ、早くお縄につきなさい! さあ、さあ!!」
不味い、彼女の目の瞳孔が開いてしまっている。これが俗に言う、キマっている、と言う状態なのだろうか。
彼に頼むのがお門違いなのは承知しているが、その上で早く彼女を楽にして欲しい、頑張るんだ、彼!
……プレイヤーが苦しむ様を喜ぶ運営もおかしいが、プレイヤー頼みな運営も大概だな。
だが、その願いが通じたのだろうか、遂に彼女が解放される時がきたようだ。
「いけー! そこだー! ん? あ、えーー〜ー!!??」
「ん?」
「い、いやいやいやおかしいでしょ今のは! え、何が起こったんですか!? 一瞬全員が止まったと思った瞬間にはもうやられていましたよ!?」
「君、落ち着くんだ。一旦、ログをみたらどうだ?」
「確かに、それもそうですね、ナイスです先輩! たまにはいい事言いますね!」
いや、最後の言葉が圧倒的に余計なんだよなー。まあ、いいんだが、それよりも私も何が起こったのか気になる。彼女の実況? だけではさっぱり分からなかったぞ?
「え、えーっと、まず、え? 彼が麻痺の魔眼を使っていますね、これで視界に映ってる機体の全ての動きを一瞬だけ止めたんですね。ほんと一秒にも満たない間ですが。そして、その後に、……これなんて読むんですか?」
そう言って彼女は藕断糸連、と言う文字を見せてきた。
「ぐうだんしれん、だな」
「あ、そうなんですね! で、その藕断糸連を使って一度に倒してしまったと言う事ですね!」
うん、いや、何だろう。その前に見せられたから最後の説明いらないっていうか、意味なかったんだけど……
「それよりも、これだけで終わりなのかい? 監視カメラとかにまだ映っているんじゃないのかい? 更にあのロボットが増援されるのか?」
「い、いえ、この防犯プログラムを倒す、いや倒してしまうと、なんとその次は犯罪者対応プログラムが作動するんです!」
犯罪者対応プログラム……防犯の次、と言うことか。つまり、怪しい輩を捕らえるのではなく、確実に法を犯した者に対処するためのもの。
防犯で既にあれだったのだ、犯罪者に対しては一体どのようなことをするのだろうか。
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