第150話 サンプル採取


「せんぱーい、今ふと思ったんですけど、私たちって彼のことばかり観察しすぎじゃないですかー? たまには別のプレイヤーのこととかもみておかないと、気づいたら、大変なことになっちゃうかもしれませんよー?」


 ……確かに、なんか久しぶりに後輩の口からまともなことを聞いた気がするのだが、気のせいだろうか?


「なんですか、その顔はー、やるんですかやらないんですかー?」


「すまないすまない、少し考え事をしていたんだ。そうだな、たまには他のサンプルも必要だな」


「考え事ってなんですかー全くー。しかもサンプルってー」


 今日の彼女は随分と機嫌が良いようだ。長年の経験から、語尾を伸ばす日というのは比較的、機嫌が良いことが多いからな。


 だが、いつそれが損なわれるかはわからないから、折角良いのだから、なるべく保っていられるように細心の注意を払おう。


「そうだな、まずは一番多い、剣士プレイヤーから見ていくことにするか」


「はい!」


「レベルはどのくらいの者にするか? 高すぎても微妙だろ?」


「そうですね、75くらいでいいんじゃないでしょうか?」


 75と言うとちょうど中堅くらいだな。確かにちょうどいい。 


▪︎ケント Lv.75

職業:長剣士

HP 270/270

MP 20/20

STR:150

INT:10

AGI:100

DEX:60

VIT:60

LUK:1


スキル:【十字斬り】【紫電一閃】【パリィ】【狂化】【潜伏】【ソードスラッシュ】【カウンター】【俊足】【危険察知】【剛身】【身体強化】


称号:《長剣使い》《愛剣の持ち主》


SP:0


▪︎装備

左:ブレイズシャムシール

右:ー

頭:ダマスカスヘルム

胴:ダマスカスメイル

腕:ダマスカスアーム

腰:ダマスカスコイル

足:ダマスカスグリーヴ


「「……」」


 なんというか、なんと言えば良いのだろうか。でも、普通はこのくらいなのだろう? もしかしたら同じレベル帯からすれば少し強い方かもしれない。


 ただ、比較対象がな、うん。


「せ、先輩他の人たちのも見てみましょう!」


 その言葉の通り、他にも沢山の人のステータスを見ることになったが、結局感想はいつも同じだった。

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