第148話 想定外中の想定外
「ふぅ、じゃあもうみんなで考えるか!」
結局こうなってしまった。まあ、こうすれば彼女も必然的に巻き込めるし悪くはないだろう。
❇︎
そんなことを考えていたのが、約五分前のことだった。
いや、皆も確かに良い案を考えてはくれた。くれたんだが、なかなかに題材が難しいかったのだ。彼らは私達みたいに常に彼の動向を追っているわけでもないし、どちらかというと、プログラミングなどの作業的な面が担当だからな。
ストーリーは主に私や後輩、まあ、他にも数人いるのだが、今集まってくれたのは、完全に技術面の人たちばかりだ。
これでは普段とは違う角度からアイデアが生まれるかもしれない、という期待はあるかもしれないが、戦力的に考えると幾分か弱いものとなってしまう。
しかも巻き込めると踏んだはずの彼女は我関せずをしっかり貫き通して、デザートに用意していたのか、モンブランクリームを美味しそうに頬張っていた。
いいなー私も甘いものが食べたくなってきたぞ。これは頭に糖分が回っていないのだろうな。
よし、気分転換に、何か甘いものでも食べに行くか。アイデアは時間をおいた方がいいものが出やすいって誰かが言ってた気もするし、後輩に見習ってスイーツを買おう。
「あ、先輩お出かけですか?」
「うん、ちょっと煮詰まってしまってね、気分転換に甘いものでもと、おも」
「スイーツですか!? お供します! そんなー、一人で行くなんて水臭いじゃないですかー。誘ってくださいよー全くー。ささ、行きましょ行きましょー」
「…………」
処理しなければけないことがあったのではなかろうか、手が回せないのではなかったのか? なに、スイーツに回す手は残ってるって? むしろ余ってるって?
そうですか、そうですね。私が後輩に素直に目的を言ったのが悪いのだ。嘘でもついて取引先だ、とでも言っておけばよかったものを。
まあ、それでもこんな時間に行くのはおかしいから、なんだかんだ見透かされそうではあるがな。
「で、何にします? ドーナツ、アイス、あ、もういっそ食べに行きます? どこにしましょうか、そういえば最近目をつけていたケーキ屋さんがあるんですよねー」
「…………」
あ、これ止まらんやつで、もう何言っても無駄なやつだな、うん。ってか、いつの間にかお店に行くことになってるし、どういうことだよ全く。
当初の予定ではコンビニでむき栗でも買おうと思っていただけなんだが?
「じゃあ、ちょっとお高めの老舗洋菓子屋さんの、蜜柑屋に行きますか!」
いや、どこだよ。
❇︎
お会計はなぜか四桁を軽く超えました。……なぜこうなった。
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