第140話 人の話を聞け
「ん、彼がラヴァマンを従魔にした後、何故かあのハゲワシを召喚しましたよ? 今から何をするつもりなんですかね?」
よしよし、彼をこちらに引き入れるという話題からなんとか逸れたようだな。危ないところだった。
正直、不可能現実のつもりで心の中で言ったのだし、言葉に出していたのだ。まさか本気で叶えようとするとは思うまい。
だが、可能性としては保留しておいてもいいだろう。彼が味方になるほど心強いこともないからな。
自分でどんどん強くなってくれるラスボスなんて、エンドコンテンツに相応しすぎるからな。
一応、悪魔という存在をそんな存在としておいていたのだが、悪魔が霞むほどの存在感だからな。彼がなってくれればこの上ない。
ん、そうなってくると、天使も欲しくなってくるな。悪魔単体だと、人間の敵という印象しかないが、天使もいればそういう世界だという風に受け入れられそうだからな。
よし、早速実行に移していこう。
「先輩、聞いてましたか?」
「ん? もちろんだぞ? それでラヴァマンがどうかしたのか?」
「はぁ、これだから先輩は……もう、とっくに溶岩の階層はぬけましたよ?」
「え!?」
「彼はラヴァマンをそのまま溶岩の中に放置して、次はハゲタカの従魔を呼び出し、何故か階層の攻略をさせ始めたんですよ!」
「ハゲタカ? あれ、ハゲワシじゃなかったか? さっきも君はハゲワシと言ってたようなきがするんだが……」
「ちっ、変な所だけ聞いているんですから全く。さっきは間違えただけです! 今、訂正してるんですからそこはいいんですよ! それより、もっと別にひっかかる所あるでしょ!」
あ、そういうことだったのか。なんとなくハゲワシだけが頭に残っていたからな。
「はぁー、もういいです、説明しますね。なんとハゲワ、ハゲタカを召喚して攻略させたんです! この階層は一本道ですから、従魔でも攻略できると踏んだのでしょう」
「な、なるほど」
ため息を吐くくらいなら説明しなくてもいいと思うのだが……まあ、私のせいだからそんなことは口が裂かれても言わないがな。
「だが、ここからが問題なのです。そ、その従魔が瞬く間に全ての罠を軽くいなし、最後のボスまで到着したのです!」
「ほ、ほぅ」
「そして、そしてそのボスすらも……」
あ、あぁー、そういうことか。
「魔法で一撃の下に沈めてしまったのです。彼だけでなく、その従魔もこれほどの強さとは……もはや魔王じゃないですか!!」
「ふむ、魔王か」
「人の話を聞けーーぃ!!」
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