第133話 抽象的なもの
「あれ? もう、彼はあの天空の巨人達がたくさんいる階層をクリアしちゃったんですか!?」
「え、そ、それは本当か?」
「はい、嘘つく理由もありませんよ。ってか、うわあ、彼しっかりやっちゃってますねー。嫌われ者という設定の首領をきっちり倒して、そのおかげで巨人に認められし者っていうのと、首領っていう称号も獲得しちゃってますね」
「は、はい?」
全くついていけなかったぞ? 唯一追えたのは首領が嫌われてるってことくらいだが……
「ん、なんでその首領は嫌われているんだ?」
「はい? そこですか疑問を持つところは? まあ、良いでしょう。それは何となくですよ、凝り性のマックがこの天空の巨人庭園を作った時になぜか雰囲気をぶち壊すためのスーツを着させて、それを首領の所為ってことにしたじゃないですか! このくらいは有名な話ですから覚えておいてください!」
「はぁ、はい」
「はぁ、全くもう。それよりも称号の効果の方が重要でしょう? そっちを説明しますね。まず、巨人に認められし者、は雲の上に乗れるようになり、スキル巨大化を手に入れる事ができます。これで晴れて彼も巨人の仲間入りですね!」
そ、そうなのか? でもまあ実際問題、巨大化スキルは強いだろうな。単純に体積が大きいというだけで武器になりうるからな。雲の上に乗れるようになるよりもこちらの方が恩恵は大きいのではないだろうか。
「そして次の首領の称号なんですが、こちらは結構問題児でして、自分の眷属、従魔に対して、命令が効きやすくなるという効果と、尊敬、憧れ、畏怖を力に変えるという効果、そしてスキルの限界突破を取得という者ですね」
「は、はい?」
これは本日二度目だ。情報量が多すぎてむしろ自分の頭が処理することを嫌がっているようにすら思えるぞ。
「一つ目の命令が効きやすくなるっていうのは、ただでさえ従魔を服従させている彼ですから、そこまで分かりやすくはないでしょうが、それが今までよりもより強固なものとなりますね」
お、そうなのか。まあ、彼女がいうのなら間違いはないのだろう。
「ですがその次が問題なのです。尊敬、憧れ、畏怖を力に変えるという効果、これはあまりにも抽象的すぎます。この世界において抽象度の高い効果は総じて皆強い傾向にありますから、これもかなり危険です」
ん、そうなのか? 責任者の私がいうのもなんだが、詳しく知りたいなそれは。
「まず、どこからどこまでを尊敬や憧れ、畏怖とするのかも曖昧ですし、力に変えるというのもそうです。ですからもし、これらが大きく上振れし、私たちの予想を大きく超えるものとなった場合には……」
ゴクリ、場合には……? なんか緊張するな。
「彼は今以上に強くなるでしょう」
だろうね! たとえそうでなくたとしても強くなるでしょうが。まあ、いいやものすごく分かりやすかったし、新たなことを学べたからね。
え、何で私がそんなことも知らないのかって? そりゃ私も知りたいよ。
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