第132話 そんなこと
「あ、彼、感染無効獲得しましたね。って、そんなことより、今、彼、雲の上にいますよ!?」
感染無効がそんなことって……まあ、実際色んな無効スキルを彼は獲得してきて、我々も慣れてしまっている節があるって、
「え!? 雲の上?」
「はい。まあ、正確にいえば、従魔の上ですが」
いや、それこそ、そんなことどうでもいい、だろう。まあ、そんなこと口が裂けても言えないが。
「なるほど。そこはどんなステージなんだい? 雲の上と聞いてもパッと思い浮かばないんだが……」
この帰らずの塔は、その塔の中に全てが収納されているわけではなく、塔の中に入った瞬間、ランダムにこのゲーム世界のどこかに飛ばされてしまうのだ。
そして、そこで決められた条件を達成することで転移陣が現れ、次の階層に行くことができる。因みに、死んでもリスタートは途中からだ。
これは親切設計とも言えるが、それだけ条件が厳しいということでもある。まあ、挑戦する人によって難易度は若干、上下はするのだろうが、それでも最高難易度であることには変わりはない。
まあ、プレイヤー達には気長にゆっくりとクリアしていって欲しい、と言う願いをこめて作ったのだが。
「ここは何回層目なんだ? あと、どのくらい残っている?」
今、爆速でクリアされようとしているのですが、なぜでしょう。ま、まあ彼は規格外だから良いのだよ。例外はつきものだ。
「そうですねー、ようやく半分くらいですかねー。まだ半分と言うべきか、もう半分と言うべきか……あ、因みにここは巨人の国ですね。天空にある、例のアレです」
「あ、アレか」
例のアレというのはウチの社員が休日を返上してまで作り上げたことからそう呼ばれるようになった、空中庭園(本人曰く)である。
まあ、アレだけのものを一日で作り上げたのだから、素晴らしい、っちゃ素晴らしいのだが、努力の方向性がなぁ。是非、我がゲームが良くなることにそれが向くことを期待しておこう。
「彼と巨人ですかー。普通に考えると、人間に勝てる道理はないのですが……普通の人間はここに来ることはおろか、雲の上で飛んだり跳ねたりしませんもんねー」
「まあな、それこそ今更って感じだが、彼はもう人間と一括りにして良い存在じゃにだろう。このゲームに限っては」
「それもそうですね。人間で無いのならば何をされようが知ったこっちゃありませんね」
まあ、人間で無いとも言って無いのだがな。それに、彼の中身はれっきとした人間なのだからそう易々と人外判定をするのは、どうかと思う。
まあ、そんなこと口が裂けても言えないな。事実、私が誘導したようなものだからな。
……私は一体何を考えているのだろうか。
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