第129話 屍喰らうな
「彼はなんとか善戦していますが、結構キツそうな表情をしています! ゾンビの七度目の侵攻までは従魔達に対応させていたのですが、八度目からは彼も参戦し始めました。それでも回を重ねる毎にキツくなってきたらしく、十度目の時には龍化してゾンビを食らう、という荒技に打ってでました」
あれ? 思ったよりも苦戦している感じか? 流石の彼でもひたすらの物量には難色を示したようだ。
「ですが……」
「ん? ですが?」
「はい、ですが、彼が龍化して食べまくったせいで新たなスキルを獲得してしまったようなのです」
ま、またかー。まあ、仕方がないといえば仕方がないのだが、ゾンビを食らって得たスキル、と思うと少しゾッとするな、色んな意味で。
「それでどんなスキルを獲得したんだ?」
「はい、まずはゾンビを食べまくったことで、ゾンビに感染し辛くなるというスキル、感染耐性を獲得しました。これは別に特筆すべき点はありませんね、字面通りです」
ん、まずは、と言うことは複数個あると言うことか。まあ、彼が一つのスキルだけを入手している場面の方が珍しい気もするが、相変わらず凄いものだ。
「そして次は、食べ物でもない、むしろ害のあるものを食べたことで悪食、というスキルを手に入れました。これはあらゆるものを食べられるようになる、というスキルで、非常に彼の持っている飽食、というスキルと相性がいいですね」
飽食、は確か食い溜めをしておけばそれを消費して、自身の強化、バフをかけられるんだっけ? まあ、彼は今のところそこまでそれを使ってないはずだから安心していいだろう。
なんせ私が忘れていたくらいだからな。うん、ってことは意外と今回は凶悪なものはなかったな。彼は急に悍ましい武器を手に入れるからとても心配になる。
「そして次ですが」
「え、まだあるの?」
確かに後輩はまだこれで最後とは言ってない。でもなんか終わりの雰囲気が出てたんだが……
「はい、手に入れたスキルは終了しましたが、次は称号ですね」
あっ……忘れてた。ま、まあ、称号はスキルほど直接的な強化にはつながらないはずだから安心して聞こう。
「彼はまず屍喰らいという称号を手に入れました。これは死人の肉でも空腹度を回復できると言うものなのですが、彼には必要ないので、あまり効果はないですね」
よしよしよしよし、言っただろう? あまりスキルほどの効果はないと、だが、まずといったと言うことはもちろん続くということだ。このまま穏便に終わってくれ……
「そしてこれが最後に獲得したものなんですが、魔物の支配者、という称号です。これは長時間、従魔に戦わせることで得られるのですが、それによってスキル、従魔武装を手に入れました」
え? 称号獲得によるスキル取得? それ、ズルくない?
「ちなみに従魔武装の効果は従魔をその身に宿し、己の体を強化する、と言うものです」
えぇー、それは聞いてないぞ? これは彼女の策略だ。彼女があの言い方をしたから私が期待することになってしまったじゃないか。
……そうだな、これは醜い言い訳だ。大人しく帰って寝よう。
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