第125話 蟻の巣攻略?
「か、彼の到着した様子は、み、密林ですっ!!」
私がオフィスにトイレから戻ってくると、彼女は緊迫した様子で報告してきた。しかし、私にはその情報の緊急性がわからない。どうして彼女はこうも焦っているのだろうか?
「どう、どうしたんだい? 何かあったのか?」
「い、いえ別になにもありませんでしたよ? ただ、彼がいるとどこでも不安になるじゃないですか」
「そ、そうかい……」
そんな自信満々に言われてもなー、こちら側の身にもなってほしい。まあ、その気持ちもわからんくはないのだがね。彼は色々とやらかしすぎだ。
「密林か、それならば、たくさんの猛獣や昆虫と彼は対峙することになるだろうね。彼はどんなモンスターに当たっているのかい?」
「えーっと、蛾と蟻ですね」
それはなんとも、、密林らしいっちゃらしいけど、もっと他にいなかったのか? 虎とか蛇とかそこら辺の王道モンスターに出会わないとか、逆に彼はついていないようだ。
「あ、彼が蟻の巣に侵攻を始めましたよ」
「ん、ちょっと待って、さっきまで密林にいただろう? なぜ急に蟻の巣に侵攻する羽目になったんだ?」
「では説明しますね。まず彼は普通に密林を探索していたのですが、蟻の大群に襲われました。そして彼は自分の従魔を呼び出し、空に逃げることになったのです。これで一件落着と思いきや、まさかの蟻たちは羽根を使い空にまで追跡の手を伸ばしはじめました。これには流石の彼も面食らった様子でして、必死に攻撃を避けていたのですが、なにを思ったのか、彼は自分の従魔の背中から追ってくる蟻たちに飛び乗りました。そして、蟻たちは自らの巣から飛び立っているため、その蟻の隊列を通路として利用され、彼は蟻の巣に到着してしまったのです。彼は今ここ、ですね」
「お、そうか……ありがとう」
軽く説明して欲しかっただけなのだが、思いのほか長文をダラダラと聞くハメになってしまった。それにしても彼女は絶対に今ここ、っていうのを最後に使いたかっただけなんじゃないか、と思ってしまった。
彼は蟻の巣をどのように攻略するのだろう。圧倒的な火力で一瞬で滅ぼしてしまうのか、それともじっくりじっくり攻略するのか、楽しみに見てみよう。
❇︎
彼の攻略は見ているこちらも楽しい物だった。蟻の大群を前に一騎当千の立ち回りをして、まるで、無双ゲームのようであった。また、高火力のブッパも行っていたようで、とても爽快感に溢れる物だった。そして、最後は、
「あ、彼、薬物中毒で死にました」
「え?」
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