第123話 告知


「先輩! イベントの告知流しますよ!」


 時は彼がクラーケンを貪った数分後、あらかじめ決めていた定刻になったために、ある情報が解禁される。


 そう、第一回頂上決定戦の報せだ。


 この大会はこのゲームの中で最も強い人物を決める戦いであり、その名の通り頂点を決める戦いとなる。


 今までの月一トーナメントがいわば予選であり、一年を総括するイベントであるのだ。因みにこの次の月はお休みというかまた別のイベントが控えている。


 この報せを受けて、プレイヤーはどのような反応をするだろうか。優勝を目指して奮起する者、我関せず永遠が道を進む者、純粋に楽しみにしている者、反応は様々だろう。


 しかも、イベント出場者はもう、半数程は決まっている。残りの枠はさらなる熾烈を極めるのだろうな。まあ、この月一イベは優勝者が次回以降参加しないため、これくらいしたほうが盛り上がるという者だろう。


 そして、運営視点、優勝候補筆頭の反応は……


「先輩! 彼、告知を見てニヤリと笑みを浮かべた後、すぐさま次の塔に向かいました! これは、やる気がある、とみて良いのでしょうか……?」


 え、ニヤリと笑ったの? 怖っ! 彼が笑うと本当に何かしでかしそうで笑い事じゃなくなるんだよな。それに、この大会はもう確実に全プレイヤーの注目の的になるだろうし、もう、これは手のつけようがないかもしれない。


「え、彼はやる気がありそうなニヤケをしたのに、そのまま攻略に向かったのかい?」


「はい。恐らくさっさと攻略しようと思ったのか、それとも、ここが最も成長の場に良いと思っているのかは分かりませんが……やる気なのは間違い無いでしょう。あの笑みは間違いなく狩人の目をしていましたよ!」


 こわっ! え、何をするつもりなんだ彼は一体! 頼むから大事にはしてほしく無いんだが、無理だよなー。相手もイベント優勝者しかいないんだから、もうこれは諦めた方が身のためだな。うん、もう楽しもう。


 あれ、前のイベントもこんな感じだった気が……うん、気のせいだ、考えたら負けだ。うん。


「それよりも、彼は次の層に行ったんだよね? 次はどんな階層なんだい?」


「それよりもって……まあ、良いでしょう。彼が到着した階層は砂漠ですね。あっ、ちょっ、、えっ? はいぃ!? ………彼、階層をクリアしちゃったんですけど」


「ん、んん? ちょっと、もうちょっとだけ詳しく説明してくれないかい?」


「はい、彼が一瞬で階層をクリアしてしまいました」


 うん、本当にほんのちょっとだったね。詳しく聞こうか。

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