第121話 説明回
「あー彼がキングミノタウロス倒してしまいましたよー! あーああーー」
私がオフィスに入ると、開口一番、愚痴を零していた、いや、ぶちまけていた、の方が適切だろうか。
まあ、なぜかわからないが、道場での手違いで彼は強くなったし、キングミノタウロスを倒してしまうのは仕方がないことだろう。
それよりも、その後の彼の行動の方が問題だ。彼は、ミノタウロスを倒したことによってスキルを手に入れ、また、キングミノタウロスが使っていた槍を使って自害しまくることで、変なスキルも手に入れていた。
一つ一つ説明していこう。まずは、キングミノタウロスを倒したことによって手に入れたスキルが、無限の闘争心、というスキルだ。これは名前から感じられるほどの強さではない(と信じたい)のだが、戦闘時間に応じて、各ステータスが強化されると言うものだ。
彼は、あまり一つの戦闘にそれほど時間をかけている印象がないので、まだマシな部類に入るだろう。
そして、次は欠損耐性だな。これはミノタウロスではなく、自害して得たスキルだな。自分の体を躊躇なくバラバラにしたようだが、それによって、体が欠損しにくくなったようだ。まあ、完全に無効になったわけではないからいいとしよう。
その次が、聖槍と言うスキルだ。これは先ほども言ったがミノの槍で自害したことで槍でのヒューマン殺害数が一定数を迎えたから生まれたスキルだろう。
あの、名前の通り邪悪な存在に対して、特別な効果を発揮する為、これから悪魔との戦いなどがある場合にはとても活躍してくれるのではないだろうか。
悪魔を倒しまくって彼が強くなりすぎるのは避けたいのだが、こればっかりはどうしようもない……
そしてその次から称号に入る。解剖者というものだな。これは欠損耐性を手に入れることにもなった、自分の体をバラバラにしたことによるもので、弱点がわかり、素材が多くもらえるという地味に優れた効果だ。
たまに、このゲームでも、自分で解体がしたい、というプレイヤーがいて、まれに持っている者を見かけるが、彼ほど脅威として映ったことはないだろう。ほんと、もう少しでいいから自重してほしい。
そしてこれが最後になるが、磔刑者というスキルだな。これは聖槍を獲得するに至った称号で、槍で、人を倒せば手に入るものだ。聖槍が手に入る以外効果はないが、それだけでも十分な仕事と言えるだろう。
まあ、最後にしては平和すぎるが、毎回このくらいにして欲しいものだ。
そして、この説明を私にしてくれた後輩は、隣で撃沈している。今回は特に彼に裏切られることが多かった(こちらが勝手に期待しただけだが、)からだろう。
この先、まだまだ帰らずの塔は続くので、なんとかメンタルを保って欲しい。私の経験からすると、彼の奇行、及び強化はまだまだ止まらないと思うぞ?
そして、次は海の階層だ。一体どうなることやら……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます