第104話 情報の重要性
「あ、先輩! 彼が、情報屋の元に行きました!」
「情報屋だと?」
「はい、彼がサイコキネシスを獲得した後、何やら試行錯誤というか、考えているようなそぶりを見せていたんですが、結局何がしたいのかわからないまま、ここに到着するに至りました」
何がしたいか分からないって、随分と辛口だな。せっかく見守っていたのに何も起きなくて残念だったのか? それならそれで彼からしたら良い迷惑だな。
「そうか、それにしても情報屋っていうのは何もプレイヤーのクランではないのだろう?」
「はい、もちろんガチの方の、NPCの方の情報屋です。ですから情報屋といううよりかは物知り爺さんと言った方がよかったですね」
ん、なんか彼女ピリピリしていないか? それだけ彼の動向に期待していたのだろうか? ま、まあいつも何かしでかす彼にしては何も起こらずに次に進む、というのは珍しいのかもしれないな。
「そうだな。それは良い名前だ、是非採用させてもらおう。ところでその博識爺は簡単に見つかるような相手でもないだろう? どうやって彼は見つけたんだい?」
「はい、それなんですが、どうやら暗殺ギルドの受付の方に聞いたそうです。暗殺ギルドはかなりの情報を持っていますから、それと彼のコンボはなかなか厄介ですよ? ギルドもギルドで優秀な彼を重宝している節はありますからね」
「そ、そうか……」
確かに彼は、暗殺ギルド員としてもかなりの実力であるからなー。それに目をつけられて少しくらい融通されるのは致し方ないか。
それにしても、まだ暗殺ギルドに加入しているプレイヤーが彼だけということも考えると、本来ならば適切なサービスなのだろうな。彼がそれを享受するのが早すぎる、というだけで。
「ふむ、まあ彼がそこに到達したことはもうしょうがないだろう。それよりもそこでは明確なあるルールがあるだろう? それを彼がどう攻略するのか見てみようじゃないか」
「はい、分かりました。しかし、彼は我々にも新たな情報を提供してきたんですよ? そんなただの、とは言い難いですが、その、このゲームに生活する爺さんが知らないことなんて、いくらでもあるでしょう」
「まあ、それもそう、かもしれないが……」
❇︎
「はぁ……だから言ったじゃないですかー。彼からしたら当たり前の情報が相手にとってはすごい情報になりうるんですよー」
「まさか、強制進化が決め手となるとはな……」
途中まで、彼がモンスターでせめていたときはもしかしたら、と思ったがそれでも彼は強かった。
「それに、彼が手に入れた情報が重すぎますよ! 念話でしょ、宇宙の存在でしょ? さらには魔力吸収の存在をひけらかしつつの帰らずの塔の存在も教えられましたよ! もう、どうするんですか!」
「まあまあ、念話は確かに強いスキルではあるが、そこまで重大な情報というわけでもないし、宇宙については知っていてもどうすることもできんだろ? 帰らずの塔に関してはそれこそ次の街に行けば分かることだ。だから、すごいように思えても意外と大したことはないのだ」
「いや、そうは言ってもですよ? 答えを知っているか否かでその物事に対する姿勢は変わってきますよね? 先輩でもこれは絶対にヒットするゲームだ、って言われたら脳死でするでしょ?」
「うむ」
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