第93話 お化け屋敷
魔眼を継承しているだと……? 何をしてくれてるんだ全く。
魔眼を全て継承すると、恐ろしいことになってしまうのだが、まさか、彼はそれを狙って……!?
いや、いや流石にないだろう。蜘蛛の王も彼に何度も襲撃することによって魔眼を得た訳で、ほとんど偶然みたいなもんだ。
まあ、それすらも彼の計画通り、なんて言われたらぐうの音もでないが、そこまでくるともう一体何者なんだ? という話だろう。このゲームのことを知りすぎていることになる。それこそ我々以上にな。
だから、その考えは無駄だし、現実味もないし、仮に現実だったとしてもその可能性を考えたくないのだ。
……少し、思考が乱れているな。落ち着こう。
「か、彼は魔眼を獲得した後、どうしたんだい?」
「それなんですが、蜘蛛の王という称号を獲得したことにより、その場の蜘蛛が全員配下となりました。しかし、何を思ったのか、彼は今し方倒した蜘蛛を蘇生し、そのまま配下の蜘蛛達の指揮権を全権委任したのです」
ん、ん? どういうことだ? まず、王を倒したことで、大量の蜘蛛の長になったのだろう? それは分かる。そこまでは分かるのだが、その次に蘇生した?
何故? 何故蘇生したんだ?
「お、恐らくですが、大量の蜘蛛達の面倒を見るのが嫌だったのかと……」
「は、はい?」
嫌だった……そ、そんな理由だったのか。
現実で言うなれば、とある会社と徹底的にやり合った後、社長を辞任にまで追い込み傘下に収めたは良いものの、やっぱり面倒臭いからと、社長を再び雇用し、経営を任せている感じか?
まあ、ここはゲームのシステム上完全なる忠誠というものが保証されているからいいものの、それはどうなんだ? いいのか?
ま、まあもう何も言うまい。彼が好きにプレイすればいいのだ。私らはあくまで傍観者、何か思うことは自由だが、その結果観察対象に何か影響をもたらすことはご法度だ。観察者の精神は保っておかなければならない。
それにしても、彼の行動は常軌を逸しているというか、なんというか、まあ見ていて飽きないという点では素晴らしいが、ヒヤヒヤさせられ過ぎるというものだ。
だったら、見なければ良いと言うかもしれないが、そういうことではないのだ。皆、怖いと分かっていてお化け屋敷にいくし、ジェットコースターに乗るし、ホラー映画を見るのだろう? それと同じようなものなのだ。
ん、ホラー?
「そういえば、彼はこの後どうしているんだい?」
「彼は、今現在……あ、ちょうど第四の街に続く、死者の国へと歩みを進めているようですよ!」
どうやら彼は、リアルなお化け屋敷にいくみたいだな。
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