第92話 彼vs蜘蛛
「えぇ!? えぇええええええーー!!」
彼女が壊れた。
どうかしたのだろうか。何かあったのだろうか?
「どうしたんだ? 何かあったのか?」
「か、彼が……彼が、蜘蛛の糸に拘束されており、そのまま蜘蛛にやられたかと思いきや、彼は死んでおらず、反撃を始めたのです。
それだけでも驚きに値するのですが、蜘蛛たちも諦めることなく、幾度となく襲撃を仕掛けました。その都度彼はクラスターボムで撃退したのです。
まあ、ここまでは、ここまでは分かるのです、分かるのです」
あ、これは彼女確実に壊れてる奴だ。だって、今までの内容、私が全て知ってる内容なんだもん。もう、これは最終形態を迎えているようだな。
いわゆる、独白モード。このモードになった彼女を止められた者はまだ一人として、いない。
「そ、それでどうなったんだ?」
「はい、彼は幾度とない蜘蛛の波状攻撃を乗り越える上でとうとう、蜘蛛の天敵という称号を得るに至りました。これは蜘蛛に対しての与ダメージが増幅するというものです。この時点で戦況が大きく変わるというのは誰の目から見ても明らかです。明らかですのに、彼は、彼は何を思ったのか、彼自身も戦況を動かそうとし始めたのです」
いや、うん、別に妥当ではないのかな? 彼自身も別に火力が足りないから戦況が膠着しているとは思っていなかっただろう。それこそ、火力が少し上がっただけでマシになるとも思っていなかったのだろう。
だからこそ動いたんじゃないのか? 別に、別に普通のことだと思うのだが?
「そこで、彼はその大小を問わず、自分に襲いかかってくる全ての蜘蛛の存在を無視し始めました。そして、その直後、蜘蛛の大元、ボスである存在の巨大蜘蛛に向かって攻撃を仕掛けたのです。しかも、それはナパームボム、焼夷弾の一種です。それは薬品を使用しており、対象を焼き尽くすまでは消えない炎なのです」
ふむ、それが巨大蜘蛛に襲いかかったというわけか。そりゃ巨大蜘蛛もこんなものぶつけられりゃ一溜りもないだろう。蜘蛛って火が苦手だしな。
「しかし、相手の蜘蛛も思わぬ行動をとりました。自分の大炎上中の体を脱ぎ捨て、火の手から逃れ、そのまま自分の毒液でその炎を鎮火したのです」
お、おう。なかなかワイルドだな、そんなことするのか。にしても柔軟な対応だし、最適解といっても過言じゃないだろう。
「蜘蛛の行動に呆気をさらしていましたが、彼はすぐさま追撃に出ました。両手に剣を装備し、スキルを四種発動しました。流石にその攻撃はまずいと思ったのか、巨大蜘蛛は魔眼を発動しました」
「なに!?」
魔眼だと? 魔眼はこの世界に多くの所持者がいるが、その全てがオンリーワンの代物だ。それを使ったとなると、その力を得たということになる。もしかして、彼に対する幾度とない襲撃が……
「はい、恐らくそう考えられます。彼を何度も蜘蛛達に襲わせることで、新たな力に目覚めたのでしょう。それこそ王としての資質が」
「そ、それで彼はどうなったんだ!?」
「はい、寸での所で体の動きを封じられた彼ですが、なんと、そこで龍化を発動することで無理やりバフの効果を維持し、噛みつき攻撃を放ちました。よく人間の身である彼にこんな思い切った行動ができますよね。少なくとも感覚は自分のものであるはずなのに……」
「ん? つまり、彼が勝ったということか?」
「はい。彼が勝利し、無事、魔眼を継承しております」
「はぁああああーーー!!??」
————————————————————
この出来事、およそ本編114話ら辺でございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます