第82話 最強コンボ
「報酬が、三倍!?」
な、何を考えてるんだあの爺さんは。確かにNPCには自由意志を持たせてあるが、それにしても自由すぎないか!?
「ま、まあもうもらってしまったのだろう? それならば仕方がないだろう。因みにどんなスキルを貰ったんだ?」
「は、はい。彼はなんというか、数多くある四字熟語スキルの中から、良くこれを見つけたな、というものばかりですよ。
一つ目は、深謀遠慮というスキルで、戦闘相手の次の手を予測するというものです。更に、実力差に応じでその見える数が増えるというですから、恐ろしいなんてものじゃありませんよ? 彼は未来予知も持っているのに、やめて欲しいですよね」
ま、まあ未来予知を持っているのにも関わらずとってくれたことを喜ぶべきなのか、更に盤石になった彼の体制に怯えればいいのか分からないな。全く、本当によくこれを選んだものだ。
「その次は、花鳥風月というスキルです。これは相手のデバフスキルですね、相手のSTR とAGIを半減させるというものです。こちらも熟練度に応じて効果が変わりますので、彼に使わせるとどうなるのか、本当に嫌になりますよね」
このスキルは知っているな。なんせ私が作ったものであるからな。少し嬉しさすらある。まあ、このスキルは無難に強い、という感じで彼らしさはないが、それでも強いことには変わりはないからなー。それに、彼が持っている明鏡止水とのコンボが怖いな。どうせ彼はそれを見越してとっているのだろうが。
「そして三つ目が一番の怪物です。厭離穢土、です。これは、全MPと全HPを消費して、一つ対象を選び、そのHPを全損させる、というスキルで、彼との相性がとてもバツグンなんです!!」
ん、そうか? 全部を消費して相手を倒すというものだろう? 誰が使っても等しい効果しかでないきがするのだが……
「あ、」
「どうやら先輩も気づいたようですが、このスキルはHP、MPが両方満タンの時に自滅して相手を倒せるというスキルです。かなり代償は大きいですが、必ず倒せるという効果ですのでまあ使い所に悩むスキルなのですが、なのですが! 彼の場合まずMPは少量しかなく、そもそもMPを使うスタイルではないので、影響がありません。更にHPは称号の効果で死ぬことが許されません。
相手を確実に倒した後、死ぬこともなく、その後の枯渇したMPでもなんら影響がないんですよ? どんなチート野郎ですか、この人は!!」
彼女の熱が最高潮に達したようだな。そりゃそうだ。彼との相性が良すぎるし、なんていったって効果が強すぎる。その分大きいデメリットであるのに、それがほぼ無効化されるとは……
このスキルを作る時に、どうやって彼の存在を知ることができるだろうか。どれだけ想像力を働かせても無理だろう。
それにしても強くなりすぎじゃないか、彼は。一体何が目的なんだよほんと。
もう今では彼の行く末よりも、後輩のメンタル面の方が心配になってきた。早く諦めや慣れというものを獲得した方がいいぞ。確かに、防衛本能として過剰に反応してしまうんだろうが、それだと体が耐えきれなくなってしまう可能性があるからな。気をつけて欲しい。
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