第79話 常人
「せーんぱいっ、彼が悪魔の情報を探りに行ってるんですけどー……」
「ま、まあいずれはそうなるだろうな」
「でも、その情報を求めにいったのが暗殺ギルドでー、その受付の人が、教会の二軒隣っていったんですよー」
「ふむ、まあ別に間違ってはいないな」
「確かに、間違ってはないですよ、間違っては。ただー、隣二軒って別に他にもあるじゃないですかー」
「あっ……」
完全に失念していた。そうだ、なんとなく教会が上手くできたもんでなん色々集合させたような、してないような。ま、まあどうにかなるだろう。もう、自分のせいだと落ち込みたくはない。
「そ、それでどっちにいったんだ?」
「……今確実に現実逃避しましたよね? まあいいですよ、彼は右、にいっちゃいましたね」
「あ、あーそうか、そっちかー。ま、まあもう今更なんだよ気にするな」
「そ、そうですね。それにまだ確実に彼が突破できるとも限りませんし……」
後輩よ、それがフラグというものだ。だがそれは経験でしか得られるものだ。今回もその一つだ。成長して欲しい。
「あ、入りますよ!」
彼が扉を開き、そう彼女が言った瞬間、彼のもとへ一つの矢が飛んできた。
「あっ!!」
もちろん彼女は矢が飛んできたことに驚いているのではない。彼女は知っている、そりゃ製作者だからな。彼女は彼が避けたことに驚いているのだ。まあ、常人であれば絶対に避けることはできないであろうな。
これは最初の一人には残念だが犠牲になってもらい、そこからプレイヤーに広まる、という流れの想定だった。
だがしかし、彼は常人ではなかった。
どういう理屈か、彼は避けてしまった。
「おい、彼は何かスキルを使用したか?」
「え、えーっと、そうですねー、彼は……」
なんだ? どうにも歯切れが悪いな。彼女にしては珍しい、何かあったのだろうか?
「ど、どうした? 何かあったのか?」
「それがですね、、、何もスキルは発動していないのです。強いていえば危険察知くらいですが、それはパッシブですし、それを感知した頃に刺さっているかと……」
つまり、彼はこの世界の素の状態であの攻撃というか、罠、奇襲を避けたのか? 恐ろしい。もはや彼にどんな奇襲も効かないのではないか? だって何も警戒していなくてこれだろう? どうかしている。
それにしても、彼が避けることができた原因が知りたい。仮に危険察知がありえないほどの出力を発揮していたとしよう。だが、もしそうだとしたら、開ける前に分かって、もうちょっと警戒しながら開けるだろう。彼の反応は矢が発射されてから気付いた感じだった。
つまり、彼は矢が発射されると同時くらいに発動した危険察知に身を任せて避けたということなのか?
……勘弁してくれよぉ〜
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