第76話 瞑想の効果


「先輩! 先輩っ!!」


 おっと、少し居眠りしてしまったようだ。昨日飲み過ぎたのか? まあ、しかし昼寝は人間にとって重要なものだ。是非することをお勧めしておこう。


「先輩、何ボケッとしてるんですか! 最悪寝てもいいですが、ちゃんとやるべき時はやってくださいよ! メリハリが大切なんですよメリハリが!」


 後輩に説教されてしまった。まあ、言われていることは正論であるから素直に受け止めるとしよう。大きな器をもつことも上に立つものとして重要な素質である。


「そうだな、それよりもどうかしたのかい? 何か報告でもあるんんじゃないのか?」


「そうですよ! 何がそうだなですか、しっかりしてください!」


 はい? これは完全なる八つ当たりで良いんですよね? なんで今私が責められているのか全く理解できないぞ? これも全て私が寝たことが原因というのか?


「すまない、すまない。それで結局なんの話だったんだい?」


「えーっとなんでしたっけ、そうそう、なんか彼が砂漠で瞑想していたんですよ! そしたら気づいたら、乾燥無効、断食、隠遁、ゾーンという四つのスキルを彼が獲得してしまったのです!」


「……そ、そうか。ってえ!?」


 まだ寝ぼけていたのか、いつも通り無効化スキルを手に入れただけかと思ったら、なんか色々えげついスキルを獲得してた。え、そんなことあるのか?


 もともと瞑想自体すごく効果のあることで、マインドフルネス効果やメンタル安定、他にも様々な効果が科学的に証明されている。それをこのゲームないで行っていること自体がとても素晴らしく有意義なことであると思うのだが、それでスキルまでゲットできちゃうなんて、そんなに瞑想ってすごいものだっけ?


「か、乾燥無効はまだいいや、なんとなくわかるからな。その他のスキルはどうして手に入ったんだ? 全く理由が分からないんだが」


「一つ一つ効果と共に説明しますね。まず、断食、これはほとんどフレーバースキルですね。ですが、彼は修行僧であるため、もし仙人になることがあれば、ちょっと危険なスキルになります。獲得理由は……ずっと何も食べなかったからでしょうね」


 仙人か、彼が仙人になるのだろうか。そんな未来は全く見えないが、もしかしたらもしかするかもしれない。が、特段いますぐどうこうって話でもないだろう。今は置いておこう。


「次のを頼む」


「はい、次は隠遁ですね。これは彼が潜伏を発動しながら行ったため熟練度が溜まりに溜まった結果のようです。どれだけすればこんなスキルが生えるんでしょうか。それに効果もかなりえげついですよ、姿を完全に隠し、匂い、音、気配も完全に消した状態で行動可能、というものです。強過ぎじゃないですか??」


 これはすごいな。彼女も言ってたが、どれだけ時間瞑想していればこんなことになるんだ? しかし、逆にいえば瞑想の間ずっと使ってたらそりゃ生えてもおかしくはないか。


「そうか……恐ろしいな。では次頼む」


「はい、次で最後ですね。どうやらゾーンというスキルを獲得したようです。これは瞑想によりマインドフルネス効果が高まり、集中力が上がったことにより獲得したようですね。スキル、集中が統合されています。

 効果は集中の完全に上位互換で体感時間が伸び、STRとAGIが1.1倍になるそうです。これもぶっ壊れですよね!?」


 集中力か……そんな簡単に上がれば誰も苦労しない、と言いたいところだが、彼の場合は本当に長い時間しているし、以前もずっとしていた。このスキルも頷けてしまうのが癪だな。


「ふぅーー」


 それにしてもまた見ない間に強くなって、彼は一体何が目的なんだ??

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