第75話 はんばーーーーぐ!


 ではさっそくハンバーグを作っていこう。まずは玉ねぎのみじん切りだな。玉ねぎを切ることなんていつぶりだろうか、小さい頃に母親の手伝いをして涙を流していた気がする。


 このレシピによると、玉ねぎのみじん切りはコツがいるようだな。まず半分に切って、その後に少し浮かせて切れ込みを入れていく。そして九十度回転させて同じ幅でもう一度、今度はしっかりと切っていく。こうすることで、楽にみじん切りができるようだ。


 うん、確かに楽だ。初心者の私でも楽にそして意外と見た目も良くできた気がする。そして最後に、包丁の端を押さえてバババッと切っていく。


「よし、」


 これで玉ねぎのみじん切り、完成だな。


 この後は、玉ねぎを炒めるようだ。最初から玉ねぎがメインだな。ハンバーグって玉ねぎそんなに感じないのに、こんなにも手間がかかってるんだな。


 玉ねぎの炒めは、約十分くらいだ。全体が飴色になるまで炒める。うむ、玉ねぎってこれほど色が変わるのだな、新たな発見というのはやはり楽しいものだ。


 よし、完成だな。これから少し粗熱を取っていよいよハンバーグ作りの目玉、タネ作りに入っていく。


 タネは今回、合挽き肉、玉ねぎ、卵、パン粉で作っていく。もちろん調味料もしっかり入れるぞ?


「うっ」


 全てをボウルにいれていざ捏ねようと、手を突っ込んだのだが、なかなか気持ち悪い。指の隙間にくっついて、ネチョネチョしている。これほど大変なのか料理というものは。


 心を無にしてひたすらに練っていく。どれくらい練っただろうか、かなり良い感じに仕上がってきた気がする。後は食べる個数に分けていく。私一人分でいいから、二個に分けるのだ。私は意外と食べる男なのだ。


「うん、いい出来だな」


 よし、ここからついに焼き上げていく。まずフライパンに薄く油を引いて温める。そして、そーっとタネを乗せていく。


 最初は弱火で焼き目をつけていく。コゲにならないように何度も何度も裏返して確認しながらつけていった。どうしても焦がしたくはないからな。そしていい感じの焼き目がついたら水をほんの少し投入して蓋をして蒸し焼きだな。


 これも約十分くらいらしい。そして、時間が経った後に、竹串で刺して透明な肉汁が溢れたら完成のようだ。


「うわー、んまそ」


 ジュワーっと肉汁が弾け飛ぶように、我先と出てきた。うん、我ながら上出来だな。私が見ているレシピではこのままソースも作っているのだが、まあ、せっかくデミグラスソースを買ったのだからそれを使用する。


 付け合わせは適当に人参とジャガイモを茹でて隣に置いておく。では実食に参ろう。


「頂きます」


 ナイフとフォークを手に、肉塊を切り開いていく。切り開かれた扉からは透明な旨味となる肉汁が滝のように溢れ出る。それをそのまま口に入れると、肉汁に溺れているかと錯覚するほどの圧倒的量が押し寄せてくる。そして、噛む度に肉の美味しさが五臓六腑に染み渡っていく。


「旨い」


 久しぶりにビールでも開けるか。


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