第34話 ラスボス
満腹状態の中連れてこられたのは長蛇の列ができているタピオカ屋だった。
この年になってタピオカを飲む機会がやってくるとは思わなかった。タピオカが今流行ってるとはな、思わぬこと過ぎてびっくりだ。もう、何十年も前に死んだ文化だと思っていたのだが。やはり若者の気持ちは分からないな。
私が若い頃はチーズハットグっていうものが流行っていた気がするんだが、本当に移り変わりが早いよな。こんなおじさんがついていけるわけない。
実際のタピオカなんだが、結果はかなり酷かった。後輩オススメのトッピングにされ、もちろんサイズも一番大きいのにされ、私はもう意識が朦朧とした中飲み切った。タピオカが無ければもう少し飲みやすかったのだろうが、そいつが本当に厄介だった。
序盤に液体を飲み過ぎて最後に黒い物体が大量にこちらを見ているのにはゾッとした。食べ物に恐怖を覚えたのはこれが初めてだ。その時点で胃の容量は既に十割を超えていた。そこからのタピオカラッシュは地獄だ。
味は聞かないでくれ、そんなものを感じる余裕が無かった。もうタピオカなんて二度と飲みたくない。
そして、なんとか飲み干したと思ってもそこからもキツかった。逆流地獄の始まりなのだ。腹部に衝撃が加われば確実に嘔吐する自信がある。これは間違いないだろう。
だが、これでようやく、ようやく私が提案したはずなんだが、なぜか苦行となってしまった、グルメレースが終了した。長かった、非常に長かったし疲れた。なぜ食べただけなのに疲労感が溜まっているのかと言いたいが、これもしょうがない。部下のメンタルヘルスケアと思うしかないだろう。
唯一の救いはこの値段が経費で落ちることくらいだろうな。これが自腹だったらと思うと恐ろしすぎる。まあ、後輩には自腹感を出したがそういうものだ。経費で落とせるものは落としていかないとだからな。
隣の彼女を見るととても満足したような顔をしている。これでまた業務を張り切ってもらえると思えば安いものだ。彼女はうちのチームのエースだから、これからもしっかりと働いてもらわないとな。
たまにはこういうのもいいもんだな。人の観察も楽しいが、ゆったりするのもいいものだ。いや、今回は最初しかゆっくりできなかったがな。まあ、それでも休養の重要性に改めて気づいた。
これでまた明日も頑張れるな!
今日は一旦家に帰って休もう。
ーーー次の日
「先輩! 先輩ー!!」
うん、もう少し非日常を楽しんでもよかったかもしれないな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます