中学のときのほうが
「『ケンカするほど仲がいい』って言うけど、仲良くなった奴っているのか?」
「んなことあるわけねえだろ。ついさっきボコった相手に握手求めて相手が応じると思うか? 思わねえだろ。ケンカすれば仲が良くなるっつうなら今頃俺は友達100人出来てるぜ」
高崎の質問に面倒くさそうに応える鬼島。
「そういやこの前、中学んときにケンカ別れした野郎とばったり再開してな、挨拶もなしに殴りかかってきたからよ、俺は挨拶代わりにカウンター食らわせてやったぜ」
「そいつはそのあと挨拶したのか?」
「地面に挨拶してたぜ」
「仰向けに倒れたら空に挨拶だな」
「どちらにせよ俺に対して挨拶がなっちゃいねえってんで叩き起こしたんだ。そしたら野郎開口一番『覚えてるか?』と来た。なんのことか分かんねえから、分からねえって言ったら野郎『あの時「覚えてろよ~!!」って捨て台詞を俺が吐いただろ! 覚えてねえのか!?』
けっ。こちとら捨て台詞をいちいち拾っちゃいねえよ」
「捨て台詞覚えてるかどうか復習問題だな」
「くだらねえ。まあ俺も昔イキってた頃は『おととい来やがれ』みたいなこと言ってたもんだが、いつからかおとといじゃ来るに来れねえってこと分かってからは『あさって来やがれ』って言うようにしたことあんな。実際にあさってに来た野郎はいなかったがな」
「もし次の日に来てたらどうする?」
「それは受付ねえ。もし来たら叩き出してやんよ」
「中学卒業したときにお礼参りしに来た奴いた?」
「ああいた。お中元、暑中お見舞い、残暑お見舞、寒中見舞い、礼儀知らずな野郎どもがお礼に伺いに来てな。極めつけは『散々礼になったからお礼を受け取りやがれ』ってんで、わざわざ卒業式当日に校門の前で何人か待ってんだ。礼はいらねえって言ってんのに『受け取ってくれ』って殴りかかってくんだ。ま、丁重にお返ししてやったがな」
「色々と付き合いってものがあるんだな」
「ふん。いちいち付き合ってらんねえがな」
「鬼島は中学の頃よりだいぶ丸くなったって聞いたぞ」
面白くなさそうに過去話を高崎としているところに小野坂も加わり言ったが鬼島は不機嫌そうな表情を浮かべた。
「あ? 太っちゃいねえよ」
「いや体型のことじゃねえ」
「髪型のことか? たしかに中学んときは怒髪だったがよ」
「髪型でもねえ」
「じゃあなんだコラ。殴られてえのか委員長」
「中学の頃のほうが荒れてたらしいな、って言おうと思ったがそうねえっぽいな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます