目と目が合えば~火花が出る!
「お互いに睨み合うと火花が出るらしいからやってみないか?」
「火花が? 出るもんか?」
高崎朔は小野坂渉に提案するが小野坂は怪訝な表情を浮かべていた。
「一見にしかずだ。とりあえずやってみようぜ」
「いや出るわけねえだろ。って、睨むなよ」
「だから睨み合うんだって」
睨みつけてる高崎をしばらくアホかと思いながら見ていたが、そのうちにあきらめた。
「はあ・・・。分かった分かった。一回だけな」
小野坂も睨み返した。
「これでいいのか?」
「おう」
しばらく睨み合う二人。しかしなにも起こらず高崎はキョトンとした。
「あれ、ちゃんとに睨んだ?」
「ちゃんと睨んでんぞ」
「おっかしいな~。出るはずなんだけど。気合いが足んないのかな? ちょっと気合入れて睨んでみて」
「いや気合の問題じゃ――」
「はあああああーっ!」
「マジかよ~・・・。ったくよ~。せやああああーっ!」
再度あきらめて高崎に付き合うはめになった。
「うおおおおおーっ!」
「ぬおおおおおーっ!」
「いつ出るんだ~!? もっとにらみ利かせろ~!」
「やってんぞぉ~!」
「「ぷはっ!」」
「はあ。はあ。はあ・・・だから出ねえって言ったろ」
二人とも膝に両手を置いて息を整えていた。
「おっかしいな~。もしかして目力足んなかったか? それとも視線が上手くぶつかってなかったか?」
「いやちゃんと目は合ってたぞ」
「だよなあ。他になにか発動条件があるのかどうか・・・う~ん・・・あっ。そうだ。対抗心だ」
「は?」
「対抗心。つまりライバル視して睨まないとダメだ」
「お前をライバル視なんかする気はねえぞ」
「そこだよなあ。むしろ、ライバル視してたら目も合わせたくないとかになりそうだし。ま、難しいからこそ、条件が揃ったときに火花が出るんだな」
◇◇◇◇
次の日、教室で高崎が机に足を投げ出して座る鬼島の席の横に立って鬼島を見下ろすように睨みつけていた。
「んだよ?」
面倒くさそうに目だけで見る鬼島。
「睨み合うと火花が出るらしい。鬼島は出たことあるか?」
「ねえ。ケンカで火花を散らすのはしょっちゅうだったがな」
「ないの? 不良ってよく
「ねえって言ってんだろ。お互いに眼飛ばしたところで『どこに目え付けてんだ!!』って因縁しか出ねえよ。ま、俺はどこに目が付いてんのか懇切丁寧に教えてやっけどな。そんで目もあてらんねえようにしてやんだ。今のてめえみたいに俺を見下すような野郎、俺から見りゃ見上げた野郎だが、一度だけずいぶんと見上げた野郎がいてな、よく見りゃそいつは2m越えだ。だがケンカじゃ俺が上だったがな」
「俺視力2.0」
「あ?」
急に高崎は言った。
「それも左右」
「・・・・・・チッ」
顔を逸らして舌打ちをかますのを見て高崎は一言。
「視力じゃ俺が上」
「てめえもどうやら目を当てらんねえようにされてえみてえだなあ!」
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