天災現る

「朔、お前小テストがひどいって先生が心配してたぞ。ちゃんと勉強したんか?」


「別に手は抜いてないよ。ただ手のつけどころがなかっただけ」


 小テストが返ってきた後、高崎があっけらかんとしていたため、小野坂は呆れてしまう。


「はあ。手が付けられねえってのはこのことを言うのかもしんねえな・・・。そういやお前テスト中に頭めっちゃ動かしてたよな。あれなにしてたんだ? あんなことしてたらカンニング疑われんぞ」


「ああ、あれ? あれは頭をひねれば知恵が絞れるって聞いたからテスト中に頭をひねってたんだよ。でもよ、知恵なんて全然絞れなかったぞ」


「ひねりの意味が違え」


「無い知恵を絞れる、なんてウソなのか?」


「無い知恵絞ったとこで所詮ねえだろ」


 ◇◇◇◇


「今日の小テストは大丈夫そうだわ」


「自信ありげだな」


「昨日知恵の輪やってきたからな。それも3時間も」


「・・・3時間解けずにか?」


「おうよ。これで知恵もバッチシ」


「お前、要らぬ知恵つけちまったなあ・・・」


 どうしようもねえなと嘆くしかない。


 ◇◇◇◇


「今日の小テストだけど、あの程度の問題だったら1時間もあれば出来たな。ただ20分しか時間がなかったから出来なかったわ」


「20分で出来ないのに1時間で出来るわけねえだろ・・・」


 もう呆れるしかない。


 ◇◇◇◇


「エジソンっているじゃん、エジソン」


「あの発明家の?」


「そう。発明家で 天才と言われてるあのエジソンは小さい頃に1+1を2って答えられなかったんだってよ」


「ああ、なんか聞いたことあんなその話」


「俺も惜しいことしたな~。小学生の頃に1+1を2って答えてなければ今頃天才だったのに」


「それで天才なれてたら今ごろ天災だなおい」


 本気で悔しがってる高崎を見て呆れる小野坂。


「天才と馬鹿は紙一重って言葉は良い文句だよな。中学の頃テストで0点取った時はこれで天才に近づいたと思ったもんだ」


「そういえばお前0点取ってたことあったなあ。っつうかよく取れたよな」


「簡単だぞ。全部間違えればいいんだ」


 なぜか勝ち誇ったように言った。


「まあ真理だなそりゃ」


「エジソンって豆電球を思い付いたんだろ?」


「確かそうだったな」


「よくさ、アイデアを思い付いたときって頭の上に電球が浮かぶだろ。エジソンはその浮かんだ電球を見て電球を思い付いたと思うんだよな」


「・・・ん? なんか順序が違くねえか?」


「そこが天才ゆえんだな。あ、そうだ渉は特殊相対性理論って知ってる?」


「 名前だけは。たしか~アインシュタインだっけか?」


「そう。それでその特殊相対性理論って一見聞くと超難しそうだから『簡単に言うと?』ってアインシュタインに聞いた人がいたんだってよ。そしたらアインシュタインはこう言ったんだ。『簡単に言うとE=mc²』。その結果特殊相対性理論は『E=mc²』になったんだ」


「言うほど簡単なことじゃねえ」

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