ケンカ売買
バンッ!
教室の扉が乱暴に開かれ、その男は自分の席の机に足を投げ出して、腕を組み、眉間にしわを寄せ不機嫌そうに座った。
「鬼島」
「あ? んだよ」
小野坂に声をかけられ不機嫌そうに応えた。
制服の前は全部開いており『喧嘩上等』とプリントされた白いTシャツが覗く
「今日もケンカしたのか?」
「あん? 別に俺がケンカしようがしまいが、委員長には関係ねえだろ。それに俺からケンカを売ったわけじゃねえ」
「ああ。買ったんか」
「ふん。もちろん買い叩いたに決まってんだろ」
「買わないってことはねえのか?」
「買い時だったから買ったんだよ。買って損はねえケンカだ。ま、叩き売ってやってもいいがそんときゃ相手に高く付かせてやんよ。俺は安いケンカは売らねえ主義だからな」
「そのケンカをさらに買い取るって奴はいんのか?」
「あん? 転売目的でケンカおっぱじめようって野郎はいねえよ。ほかの野郎にケンカ吹っ掛けさせてどうすんだってんだ。あ~。そういや一回だけケンカを買い占めたことあんな。買い占めて数的不利でやったことはあんな」
「マジかよ。大丈夫なのか?」
「ふん。全員シメてやった。売り文句を一言も言わせねえくれえになあ」
口角を少しだけ上げ不敵にニヤつく鬼島を見て小野坂は呆れたようにため息をついた。
「まあケンカもほどほどにな」
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