選手出場

「では、選手の皆様はこちらにご集まり下さーい!」司会の学生に言われるように、門の前に並ぶ各班の生徒達。たまたまだが、焔啓太のいとこの焔ミホと目が合った。


お互い、思わず目を伏せる。正直、性格も見た目もすげぇスキ。だけど、今回は好敵手だ。その気持ちがバレないように、集中せねば。

 

「おい、ユウ。めちゃくちゃ顔が真っ赤だけど、大丈夫か?熱があるなら言っとけよ。」


「!?大丈夫だ、カイン!俺はなんともない!」


「ほんとか?俺はチームの勝利も大事だが、一番大事なのは仲間の身の安全だぞ。無理はすんなよ。」


「あ、ああ。」


「さあ、今回司会と進行を努めますは、ブルーシリウス所属の岳 学!それでは、ルール説明と行きましょうか!」


司会がそう言うと、中央のホログラムに文字と画像が浮かぶ。


「まず、生徒同士で戦うなどと危険かつ不謹慎、と思うご夫妻の方々もいるかもしれませんが、ご安心下さい。今回、サリエンス学長と技術開発部が開発した、粒子変換装置アイテルスを使えば、痛覚を遮断し、身体への負荷が限界を超えた時点で、強制ログアウトとなります!まあ、早い話シュミレーションVRです!」


「そして、開幕は各チームの選手は単独で召喚されます!ソロで生き残り撹乱するも良し、群れで動き孤立した選手を倒すのも良し、なんでもありのデスマッチです!」


「えーと、俺バカだから、よく分かんねぇけど、痛さとか無しで全力でバトれるってことだよな!?なら最高じゃねぇか!なあ、ユウ!」


「はは、カインの願望が叶って良かったよ。」


司会がまた口吻気味にまくしたてる。「では、各チームの選手を紹介しましょう!まずはブルーシリウスから!」


「まずはリーダーから!エーテル魔術の名門、アドム家の御曹司。智慧こそ無ければ、術式も無し!だが心の優しさとエンチャントにかけては天賦の才!さあ、我等がブルーシリウス代表!カイン・アドム!」


ホログラムの花火が上り、会場は歓声に包まれる。


「イェー!見てっか野郎共ー!!!絶対優勝するから応援ヨロシクなぁ!!!」


いつものように、ハイテンションのカインだ。


「では、カインくんを補佐する、3人の選手を一気に紹介します!」


「創った発明品は数知れず!我が学院研究部のニュースター!気弱だけど、覚悟したときこそが本領発揮!ミーシャ・ブラックストーン!」


「恋に落とした男子は数しれず!穏やかで、麗しの風使い!アリス・フェイジア!」


「突如現れた大型新人!出自はなんとノマグの少年!左門 勇!」


「あわわ〜、緊張してきた〜...」


「ふふ、ミーシャは本当に本番に弱いわね。大丈夫よ、集団戦だから、各々が弱点を補う動きをすれば、勝てるわ。」


「初陣なんだ、気楽にやろうぜ。」


「続きましてはレッドオウルの選手を紹介します!」


「甘い美貌に騙されることなかれ、その肉体は強靭、まるで沈むことの無い不沈艦。我等がレッドオウルのヒーロー、焔 啓太だぁ!」


「そう捲し立てられると照れるね。我々レッドオウルの絆は最強。必ず勝つよ。」


「続きましては、啓太くんを補佐する3人の選手の紹介です!」


「レッドオウルの看板娘!焔啓太のいとこにして、学園の歌姫!だがその華奢な肉体には、恐るべき膂力が秘められている!焔 ミホぉ!」


「挫けた仲間は絶対救うがモットー!姉御肌で頼れる衛生兵!槍使いのエリザ・モデウス!」


「留年経験は数知れず!20歳を越え、煙草と酒を嗜むおじさん系青年!だが、経験値は図り知れず!青木 和正!」


「________ 」


「おい、ミホ!緊張の余り魂抜けてる!メディーック!」


「ほら、ミホ。しゃんとしな。」


「________ はっ!?私、生きてる!?」


「ははは、この歓声の中ぶっ倒れるとはミホらしい。喝采の中、楽しむ煙草は一番ウメェや。」


「続きましては最後のチーム、グリーンクロウの紹介です!まずはリーダー!」


「葬った敵は数知れず!討伐したゴーストや悪の魔術師のキルスコアはなんと学園ナンバーワン!そして、生徒で唯一の秘技を持つ男!エル・ナインズ!」


「どーも。では、やってきますかねぇ。」


「続きましては、エルくんを補佐する3人の選手紹介です!」


「キルスコアはなんと学園最底辺!だが、個人の実力は学園最強の漢!不殺のシン・アーロイ!」


「その旋律は聴く者を惑わず時もあれば、精神を鼓舞する時もある、音の魔術師、佐藤ヒロム!」


「学園一の回復師!前線には出ないが、後方支援なら誰にも負けない!池田 梨香!」


「皆、気軽かつ、適当な本気で頑張ろうか。」


「ははっ、出た、エルの変な言葉。だが、相手にとって不足無し。全力で行かせてもらうぞ。」


「じゃあ、わいと梨香ちゃんは後方支援に徹するか。」


「分かったわ。じゃ、ヒロムが前線強化しつつ、私がエーテル充填と回復をやる感じで。」


「「我々グリーンクロウは、一人一人が目であり、手であり、臓器である。必ず勝つ。」」


「さて、選手紹介も終わりましたので、各自、御健闘をお祈りします!」


闘いの幕が開いた。

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