三つのクラス

サリエンス学長が咳き込む、「うぉっほん、それでは、これから君が入る、3つの候補クラスについて説明しようか。」


「一つはブルーシリウス。ここはこの学校が中世の頃、テンプル騎士団という魔術師集団が創設したクラスだね。それまでは、全ての魔術師が同じ教室で魔法を学んでいたの。でもそれでは、各生徒の得意不得意、千差万別なゴーストに対応出来なくて、三つのクラスに分けたの。それで、このブルーシリウスの特徴としては、保守的な魔術師が多く、一般人の目に触れて、目立つことを好まない傾向にあるわ。でも、同胞意識は三つのクラスの中で一番強く、仲間を兄弟と呼び、家族のように扱うわ。孤独な君にはぴったりかもしれないわね。そして、使役するゴーストは、キリスト教の天使が多いわね。稀にあなたのように、堕天使を使役する人も居るわね。また、このクラスで最も盛んな魔術属性は水と光ね。この二つは、正義と秩序を表してるの。言うなれば、癒しや防御の白魔術ね。」


「二つ目のクラスを説明するわね。名前はレッドオウル。ここのクラスを創設したのは、イルミナティという科学崇拝集団よ。ここのクラスの特徴としては目立ちたい、一般人に貢献し、魔法を誰でも使えるようにしたい、という献身的で平等主義の魔術師が多いクラスね。明るく、社交的な人が多いわ。使役するゴーストは、キリスト教や、同じ中東生まれの他の二大宗教によって悪魔に貶められた、古き神々ね。謂わばデーモンと称される存在だね。ここで重要なのは、悪魔とは、中東の三大宗教にとって不都合な為そう呼ばれるだけであって、善良で、人間を愛する存在が多いわ。たまにいたずらもするけどね。祝祭などで行われる歌や踊り、振る舞われるお酒が大好きで、心身ともに健康でいることを使役者に勧める子が多いわ。このクラスで最も盛んな魔術属性は、火と闇ね。この二つは呪術的側面が強く、混沌の状態を表してるわ。謂わば黒魔術ね。でも、黒魔術=悪ではなく、自分の身や周りの人間を守る為に使われるものなので、そこで誤解だけはしないで。」


「最後のクラスを説明するわね。名前はグリーンクロウ。このクラスを創設したのは、中国や日本の陰陽師や修験者よ。組織で言えば、日本の八咫烏が創設したと言われてるわ。ここのクラスの特徴としては、自然を崇拝する魔術師が多く、考え方も他の二つと比べると、魔術師と一般人のバランサー的で中庸中立を重んじてるわね。身分を隠して、様々な国の政府要人をやってたり、諜報機関に入って、諜報活動を行う魔術師が多いわ。魔法界と人間界の橋渡し役ね。使役するのは、中国の神々や、日本の八百万の神々ね。この子達は戦闘は好まない傾向だけど、霊力は悪魔や天使より高いわ。使役者には、常に調和の心を求める場合が多いわね。このクラスで盛んな属性は、光と闇、そしてエーテルね。術式は陰陽道を重視してるため、陰陽である光魔術と闇魔術を使うことが多く、使役者本人の気力であるエーテルを重んじてるわ。ちなみに、エーテルの種類は三つ有って、人間の持つ霊力、天使や悪魔が持つ魔力、仙人や神々が使う天力、これら全てを使いこなすことが、魔術師全体の目標よ。」


「説明は以上になるわ。君はもう既に、ゴーストを使役してるけど、もしレッドオウルやグリーンクロウに入る場合、クラスに適した霊体を再度召喚してもらうわ。」


俺に迷いはなかった。どのクラスも魅力的だが、俺にはアズが居る。俺はこいつのことを全く知らない。だから、相棒として、こいつのことをもっと知りたいし、仲良くなりたい。なら望みは一つだ。


「ブルーシリウスに入ります。やっぱり俺は、アズがいい。」


「では、決定だね。明日君は編入生として挨拶してもらうことになる。それまで学生寮で、休んでくれたまえ。」「うっす!」


俺の寮はここか。俺は扉を開けた。うん、中々良い部屋だ。外の未来的な景色も見えるし、ベッドは柔らかく、フワフワだ。「疲れたし寝るか。」そう呟いて、床に入った瞬間だった。隣の部屋から、何かが爆発する音が聴こえた。俺はびっくりして、隣の部屋の様子を見た。


様々な機械につつまれて、顔を煤だらけにした、小柄で髪の色は茶色く、毬栗のような髪型をした少年が居た。


「やあ、君は新しく編入された人かな?僕の名前はミーシャ・ブラックストーン。宜しくね!」「俺は左門 勇だ。宜しく。」


混沌とした毎日になりそうだ。

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