復活

「うーん...ここは...?」どうやら俺は意識を失ってたようだ。手錠も掛けられている。


辺りを見回し、俺は驚愕した。首吊り台があるぞ。

「ようやく目が覚めたかね。起きた所で悪いが、これからまた暫く眠ってもらうよ。ガードマン、やってくれ。」


「ウス」


またあの男二人組が出てきた。


どうやら俺をあの絞首台に掛けるようだ。俺は必死に抵抗した。


が、筋肉と体重差には勝てる筈もなく、絞首台の前に立たされた。


一瞬、今までのクソみたいな人生が走馬灯のように頭をよぎった。これから死ぬのか。俺みたいなちっぽけな人間には調度良い最後かもな。


そんなことを考えてる内に外からボタンが押され、ガタン、という音と同時に俺の意識は深淵に溶けた。


目が覚めると、何も存在しない真っ暗闇に俺は居た。「ここが所謂冥界、あの世という場所か?」


そうぼやいた瞬間、目の前に髑髏の黒い甲冑を着た剣士が現れた。

「うわぁ!?何だお前!?」


「突然驚かせてしまってすまない。私は君の魂を運びに来た死神だ。"アズ"と呼んでくれ。今回君とは取引の為に来た。」


「取引?まさか俺を生き返らせてくれるのか?」


「そうだ。ただ二つ条件がある。一つは君の体を私に貸してくれること。借りると言っても、君の体の中に住まうだけだ。危害は加えないので安心してくれ。」


「二つ目は、君にある覚悟をして欲しいということ。」


「私は先程述べたように死神だ。人の運命というのは大体見える。だが、君程過酷で残酷な運命を遂げる人間はそうそう居ない。多分、ここで死んだ方がマシと思う程の最後を迎えるだろう。自分の歩く先が、例え地獄の道であっても君は蘇生を望むかい?」


俺は少し考え、答えた。「こんな何も無い場所を人生の終着駅とするぐらいなら、どんな艱難辛苦が待ち受けていようとも前に進みたいと思う。死神であるあんたには分かるかもしれないが、俺、まだ未練ばっかだからさ。」


「いい答えだ。後、契約の証として呪具を渡しておく。我々"ゴースト"と契約した者には必ず渡す義務が合ってね。君には私が使ってるこの刀を授けよう。銘は"首刈り"だ。」


「そんな大事な刀、貰って良いのか?」「無論、君と私はこれから一心同体だからね。それに君と居たら退屈しなさそうだし、それの対価だと思って受け取ってくれ。」「ところで君、名前は?」「左門勇だ。」


「左門...なるほどね。」「どうかしたか?」「いや、何でもない。偶々昔の馴染みと名前が似てたんでね。つい懐かしんでしまったのさ。」


「生き返る為にくぐる門はこっちにある。付いてきて。」


歩いてる途中、暇だったので俺は質問した。「なあ、何故アズは俺の所に来たんだ?他にも死にかけてる奴は沢山居ただろう。」


「理由を言うとね、私はこの魂を刈り取る仕事に嫌気が差してて、自由になりたかったんだ。そこで波乱万丈な運命を持つ君を偶然見付けて、契約したら中々楽しめそうだと思ってね。私は退屈が一番嫌いなんだ。」


「さあ、門に付いたよ。」俺は門に手を掛けた。同時に、まばゆい光が俺を包み込み、また目が覚めた。

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