陰陽と五元素

「では説明するね。まず五元素と陰陽についてだ」「これは火、水、風、地、の四元素に空、すなわちエーテルを加えたものだ」


「 火は熱性、水は湿潤性、風は流動性、土は堅性、それぞれ別の性質を持っており、これらは相互に循環し合ってると考えてくれ。」


「そして、陰と陽はこの物質世界が産み落とされる前から存在している属性で、これらは四元素とは独立している。だが、勘違いして欲しくないのは、陽だからといって善、陰だからといって悪という単純な二元論で割り切れる存在ではない。この二つの存在が相互に衝突することで摩擦が生まれ、世界が成り立っているんだ。だからただ頭ごなしにどちらかを否定することだけはしないでくれ。」


「話がずれたね。本題に戻そう。これら陰陽と四元素はそれぞれに宿る幽精、ジンと呼ばれる存在の力を借りて行使する。どの精霊に気に入られるかは本人の素養次第だ。仮に陰の精霊に気に入られても落ち込まないで。」


「ちなみに、ジンは後に説明する精霊、"ゴースト"とはまた別の存在なので、混同しないように。」


「最後にエーテルについてだが、これは少々特殊でね、物質的干渉力を持たず、他の元素のように何かを破壊することは出来ない。だが、霊的存在に対してはとても強力な干渉力を持つ元素でもある。そして、人間の魂の核となる元素でもあるので、内に宿るエーテル力を高めることによって、身体能力を強化したり、悪魔や天使、その他魑魅魍魎等の存在に対して干渉出来るようになるんだ。言い換えるなら、"チャクラ"や "気"を高めると言った方が分かりやすいかな?」


「次に、精霊、ゴーストについて説明するね。ゴーストは普段、幽界と呼ばれる場所に住んでいて、召喚者が"死の淵"に落ちた時に、本人の生きたいという呼び声に応じて宿るものなんだ。そして、召喚後は所持者の守護霊の様な存在となって、所持者を守るようになる。」


「そして見たところ、君は陰属性とエーテルに対して適正があるようだ。後、それと同時に召喚の儀式も同時に執り行う。早速その準備に取り掛かろう。この部屋に来てくれ。」


俺は彼の放った言葉の一部に疑問を覚えた。死の淵?


「すいません、ちょっと待って下さい、死の淵に落ちた時って、まさか俺をーーー」


「その通りだ。申し訳ないが君には一度死んでもらう。だが、その後は必ず復活するので安心して欲しい。ガードマン、来てくれ。」


マーリンさんが指を鳴らすと、屈強そうな男二人組が入ってきた。「彼を例の部屋に。」「オッス。」


「嫌だ嫌だ嫌だ死にたくない!どうしてこうなったんだ!人間は一度死んだら終わりだぞ!?復活なんてするわけないじゃないか!」俺は屈強な男に羽交い締めにされながらそう叫んだ。「失礼するッス。」そう男が口を開いた瞬間、首に鈍い痛みが走り、俺は意識を失ったーーー

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る