第3話
嗚呼、今日はデートの日か。
彼は一年に二回だけロマンチックな花束と泣きそうなとびっきりの笑顔を抱えて現れる。
墓参りにしては可笑しいと誰もが眉を潜めたが、彼が帰りには大泣きしているのを知っている。
一回目はデート、二回目は彼女の命日。
毎年のことだから覚えてしまった。
プロポーズできなかったことを悔やんで、毎年一回目はデートの待ち合わせ時間を守っている。
そして二回目は墓前でプロポーズしている。
きっとその日のその瞬間は幸せだったろう。
彼は彼女にプロポーズできたんだろう。
そしてその日、彼女は…。
彼は時が止まったように繰り返し続けている。
末永く彼女と在る為に。
末永く 影宮 @yagami_kagemiya
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