無題
@poli
第1話 プロローグ
「あんた!いつまでゲームやってるの?!大学の勉強は大丈夫なの?」
「あーはいはい。これからやるとこ。」
平屋の日本家屋にプライバシーなんてない。一応私の部屋になっているはずの空間に断りも無く入ってきた母親は、抱えていた洗濯物をどさっと床に置いた。
「まったく!お姉ちゃんはもっと勉強してたわよ。」
ゲームに唯一理解のあった姉は、去年結婚してこの家から出て行ってしまった。ミキはミキの道を歩んだらいいよと姉は言ってくれたけど、そもそもゲームで生活してく道があるなんて思ってない両親は、公務員の男と結婚した順風満帆な人生を送る姉とことあるごとに比較してはもっと将来を考えろと発破をかけてくるのだった。
「やっぱ一人暮らししようかなあ…。」
夕飯中にゲーム中毒の若者たち!なんて特集をやっていたせいでいつも以上に小言を言われ、うんざりしていた。気分転換にゲームでもやるかあ、と思ってパソコンの画面を覗きこむ。
「ん?メンテ中なのか。」
いつもやっているゲームのトップページに大幅なメンテナンスを行っています、との表示が出ていた。終了時刻は午前5時ごろとなっている。
「あー最悪。」
他のゲームをやる気にはなれなくて、パソコンの電源を落として早いけれど布団に潜ることにした。できれば明日は早起きして、ゲームをしてから学校に行くことにしようと思いながら。
その日はなんだかいつも以上にぐっすり眠れた。明け方に電源を落としたはずのパソコンが、青白い光を放っていることに気がつかなかったくらいに。
無題 @poli
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