強引彼氏との甘い生活。
水月 由沙
第1話 今日もうちのが可愛い。
「ひろー。早く起きないとバイト遅刻するぞ。今日は早番だろ?俺ももう会社行くからな。早く起きろって。」
ひろの身体を揺さぶりながら、たかしが一生懸命起こそうとしている。起きなきゃいけなのは重々分かっているのだが、腰が痛くて重くて起きられそうにない。昨晩もたかしに襲われ無茶苦茶に抱かれたからである。ひろが薄目を開けてスマホを覗くと7時半だった。起きないとやばいと思い、むくりと起き上がった。
「ひろ、おはよう。」
にこっ笑いながら、たかしがキスをしてきた。
「ん。たかし、おはよ。」
その笑顔とキスで幸せな気分になり、今度はひろがたかしに抱き着いた。いつもこのたかしの笑顔と優しさに色々と絆されてしまうのだ。腰の事もすっかり忘れる程に。
「シャワー入ってくる。たかしもう行くだろ?行ってらっしゃい。」
たかしの腕の中でゴロゴロ甘えながら言った瞬間、景色がグラッとした。たかしに押し倒されていた。そして、深いキスをされていた。角度を変えながらしてくるキスに頭がボーっとする。もっとして欲しいなんて思っていたら、急に唇が離れて淋しいと言わんばかりの顔でたかしを見つめた。
「すまん。可愛くてつい。あっ、時間やばいわ。俺もう会社行くわ。」
ドタドタと玄関まで走って行くたかしを見送ろうと、ひろも後ろを着いて行く。さっきのキスで顔が赤らんでしまったひろを見て、たかしは欲求をグッと堪えた。
「いってらっしゃい。今日も頑張ってね。」
たかしはひらひらと手を振って応えた。じゃあと言ってたかしは会社へ向かった。たかしがエレベーターに乗るのを見届けると、ドアを閉めひろも支度を始めた。シャワーを浴び、たかしが作っておいてくれた朝食も済ませた。近場で見付けたカフェのアルバイトに向かう。同棲を始めて1ヵ月。たかしが職場の近くに住みたいと言い出した事に、ひろが便乗したのが切っ掛けだった。ひろはフリーターなのでどこに住んでも変わりはなかった。しかしひろは、同棲に対してまだ恥ずかしい様な、嬉しい様な気持ちで一杯だった。
アルバイトを終えて夕飯の買い物に来ていた。お互い家事はそれなりに出来るが、たかしは会社が忙しい故ひろが家事をする事が多かった。決めた訳ではないのだが自然とそうなった。鼻歌交じりに夕飯の支度をする。回鍋肉を味噌汁を作り終わってサラダの支度をしていると、たかしが帰って来た。ひろは菜箸を持ちながらキッチンから顔を出した。たかしは靴を脱いでいる所だった。
「お帰り。早かったね。」
時計はまだ19時を指していた。遅い時は21時を回るのに。ひろはたかしと一緒に居られる時間が増えた事を嬉しく思っていた。
「ただいま。今日は直帰だったんだ。ラインしたけど見てない?」
夕飯の支度に夢中でスマホを放置していた。アッと思い、ひろは俯いた。どうしようと考えているとふわっとたかしの力強い手に抱きしめられ、ひろは菜箸を落としかけた。
「お前、夕飯作るのに夢中だったんだろ。夢中になると周り見えなくなるもんな。気にしてないから、そんな下向くなよ。」
たかしの優しさに包まれ、素直に嬉しかった。ひろもぎゅーっと力を込めて抱きしめ返した。そして、たかしの胸に顔を埋めた。筋肉質なたかしの腕の中は心地良いのだ。この場所がずっと俺のものだったらいいのにと、ひろは感慨深げに思っていた。
夕飯を食べ終わりソファーでゆったりしているたかしが、食器を洗っているひろに視線を向けた。今日、直帰したのは今朝ひろとしたキスの続きを早くしたくて堪らなかったから。そんな事を言ったらひろはどう思うのだろうか。昨日も無理をさせてしまったし、体力や体格差を考えてあげなきゃとは思っているだけれど、最中にそんな事を考えていられないのが事実だった。
「たかし?難しい顔してどうしたの?」
洗い物が終わったらしいひろが、心配そうにたかしの顔を覗く。上目遣いで見つめて来るひろは、今、自分がどんなに可愛い顔をしているのか分かってはいなさそうだ。そんな、ひろにやきもきしながらも欲求の方が勝ってしまった。細い腰に手を回し抱き上げた。戸惑うひろを余所に、お姫様だっこをしながらベッドのある部屋へと足を運ぶ。ベッドに優しくひろを座らせ、たかしは貪るようにキスをした。
「今朝の続きしても良いか?」
たかしが尋ねると、ひろは恥ずかしそうに顔を手で覆ってしまった。たかしがその手を退けると、真赤な顔をした可愛いひろが居た。そんなひろはいつもの事なので、構わずキスを再開する。どんどん深くなるキスに耐え切れなくなり、吐息を漏らすのはひろだ。優しく押し倒し更にがっつく様なキスを繰り返す。たかしが腰を撫でると更に、ひろの吐息が荒くなる。ひろも流石にこれから何が始まるかは理解していた。唇が離れ首へと唇が下りていく。チュッと響く音だけでも、ひろは恥ずかしくなり切なく愛しくなり涙が零れた。たかしは、ひろの衣服を丁寧に脱がして行き、胸の突起に舌を這わせた。ざらりと言う感触と気持ち良さで、ひろは「あ、あん」と艶っぽいっ声が出てしまった。ひろは羞恥心から、また手で顔を覆う。
「顔ちゃんと見せろ。お前の全部は俺の物だろ。」
それでも、恥ずかしさの余り顔を覆っている。こうなったら、泣かせてぐちゃぐちゃにしたくなってしまうのがたかしの性分である。ベッド脇のボックスから、縄を取り出すとひろの手首を固定しベッドのパイプに繋げた。
「え、これ嫌ぁ。外してぇ。」
泣きながら訴える。しかし、たかしは知っていた。こういう強引な方が、ひろの感度が上がることを。指で胸の突起を両方摘まむとそれだけで果ててしまいそうな、ひろの反応に興奮した。洋服で隠れる場所にキスマークを付けていく。たかしの肉棒はそれだけでも元気になった。
「お前、嫌って言いながら、十分感じてるじゃん。」
下着を弄ってひろ自身も気持ち良くなっている事を確認。荒い息をしながら、ひろは首を横に振る。そんな可愛い姿に意地悪がしたくなった。
「ふーん。じゃあ、このままでもいいのか?」
意地悪そうに絡めていた指を引っ込ませる。
「あ、あ、もっと触って。止めないで。」
そんな可愛い返事が返って来た。それならと、ひろ自身を丁寧に扱きフィニッシュ直前に寸止め。ひろは快感に溺れ、涙と涎で顔をぐちゃぐちゃにしていた。もう、たかしも限界だった。ひろの密部に指を這わせ、少しずつ解して行く。ひろは喘ぎながら、頭が真っ白になっていくのを感じていた。またキスをされたと思いきや、たかしの肉棒がめりめりを浸食してくる。ひろの中が絡み付いて来て何とも言えない快感に襲われた。激しく腰を振られ、ひろは顔を手で覆いたくなった。が、縛られている為それは叶わなかった。
「あ、あ、ん。駄目ぇ。そんな激しくしたらおかしくなっちゃうぅ。」
その言葉はたかしにとって煽りでしかなかった。耳元で「おかしくなっちゃえよ。」とひろに囁くと、一層激しく腰を揺らした。胸の突起も舐めると、腰を浮かせた。ひろは虚ろな表情でひたすら喘ぐ事しか出来なかった。
「もうイッちゃう。イッちゃうからぁ。」
その言葉と共に果てるひろ。ひろの中の痙攣でたかしも果てた。お腹の中でドクドクする肉棒に、ひろは幸せを感じていた。ありがとうの気持ちで、たかしはひろのおでこにキスを落とした。縛っていた縄を解いてあげながら、またやってしまったと後悔した。縛られていた手首を摩っていたひろが、いきなり抱き着いてきた。
「俺、シテる時にたかしに抱き着きたかったのに。」
たかしはギクッとして耳元で小さく「ごめんな。」と呟いた。
「別に怒ってないよ。たかしのは今に始まった訳じゃないから。でも、反省してるなら今日は抱っこして寝て欲しいな。」
照れながら言うひろが可愛くて、もう1回良いか?かと聞く。ひろの笑みと共に、たかしに枕が飛んできた。
強引彼氏との甘い生活。 水月 由沙 @kobitozoku000
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