第2章

5人家族の長男である僕は笠原湊(かさはらみなと)。今年の春で高校2年生になった。17歳にもなるといっぱしに悩む。それが長男であればなおさら。下には小5と小6で年子の妹が二人いる。

 この状況で離婚とか、父さんと母さんもどうかしてるわ…

しわ寄せは全て長男の僕に回ってくるのはわかっていた。なぜなら僕の両親は、自分たちのことで精一杯の子どものような大人だからだ。今までだってそうだった。僕の進路を両親に相談した時なんて、

「母さんはどこでもいいと思うわよ~」

「近所の公立にしとけ、学費が安くて済む」

と言い残し、そそくさと自分たちの仕事に行ってしまった。そんな両親の下に生まれた僕と妹たちを、自分等のことながら不憫に思う。今回の離婚騒動だってこれまでと同じだ。離婚の原因だって、父が転職したばかりなのにも関わらず母がパートを辞めたいと言い出した喧嘩を発端に関係がこじれていったということだった。父の転職理由はというと、職場での人間関係への不満であった。転職した父の給料は案の定、前の職場で働いていた時よりも格段に減った。一方、母の退職希望理由は、時間に余裕が欲しいという何とも学生のような理由だった。以上のことからわかるように、あの人たちはいつだって自分のことしか考えていない。僕の日常は、そんな両親に嫌気が差す日々なのだ。そう、僕の高校生活は、曇り空のように灰色だった。

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