二日目⑦ それはともかく…

 …え…?

そのはなしは…

「その話は昨日解決したんじゃないんですか~?

何でまた持ち出してきたんですか~?」


と、初めて感情を表したエアリーだったが、すぐに


「それで~たしかに、この世界は危険ですよ~

自分より格上のモンスターに挑んで死ぬ、

なんてこともあるらしいですし~


でも言いましたよね~?それは格上モンスターに

挑んだ時の話、しかも一人でいる時くらいなんですから~


それに、私、ここの世界の人なので、あなた達よりも情報には

優れてるはずですが~?」


語尾を伸ばした後に少しキツく強調して答えている


イライラしているのが貧乏ゆすりしていて、とても分かりやすい


さっきまでとは、まるで別人になったような

雰囲気を醸しているエアリーに


驚いている自分達


そんな中でも、追及をやめない布市


「えっと…そっ、それでもっ、私たちは

元の世界ではモンスターなんかもいなかったわけですし……

どうしても、安心できないな…って…言う…感じ……」


そこに、思わぬ人が乱入してくる


「はあー、あのさー、もっとはっきり言ってくれないとこっちとしては、

分かんないって感じなんだよねー

別に、エアリーさんは『大丈夫だ』って言ってんだからー

それに文句つけるのは、なんかムカつく…

…信用なんてどうせ後からいくらでも…って感じなんだよねー!」

最後のほうはぶっきらぼうに話を締めくくる


 安立はやはり、相当布市のことが嫌いらしい


昨日でも分かっていたことだが、なんか布市と話しているとき

明らかに目つきが違う


目元にうっすらとアイラインをしているだけで、化粧が濃いわけでもなかった 

まつ毛なんかピンと(?)のびて

以外にもクリっとしたかわいい目が……


安立って意外にも『かわいい』の部類になるんだな… 


言葉ばかり気にしすぎていて

顔の方を見ずにいた…(主に何か言われるのではないかという恐怖)


一目ぼれしそうな顔だ…が、顔だけだ


中身がただのギャルは怖すぎる

住んでる世界が違うと思ってしまう


閑話休題

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 話は大いに議論され、結局


布市が折れる形で結論が出た


今回はエアリーが一人で倒すので、それを見てから判断してほしい


御園生が全く話に入ってこなかったのは何故だろうか…


と思う自分も全く話に入っていけなかったが…


あのピリピリした空気は二度とごめんだ…



 そんなわけで、エアリーに連れてこられて30分、


今も森の中を裸足で歩かされている

前の安立が一方的に御園生に話しているが

一方の御園生は特に何も言わない

常にニコニコしながら時々相槌を打って話を聞いている


御園生の主人公感が半端なく感じられる

だが、その中に入ろうとは一切思わないが・・・


ちなみに、自分たち以外に生物のいる気配が全くしない


安立が文句を言いそうなところだろうが、

布市に反対してしまったから変に抵抗心をもって

やせ我慢したってことだろうか?



改めて思うと、今ってゲームの中での

チュートリアルの部分みたいだな


というより、2日目までチュートリアルってどんだけ長いんだよ…


と、


「おっ…着きました~!」

さっきよりも明るく振舞っているように見える

エアリーが自分達にを見せた




それは…


「……っ」

声にならない悲鳴を

あげる安立


「うわ…でかいな…」

御園生も思わず声を漏らしたのも無理はない


そこにあったものは…


3メートルもあろうかという


トンボのような生物が大木に止まっていたのだった








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