二日目⑥ 影が薄い彼女の一言

 自分には何もないことが分かったところで、

そういえば元からそうだったな、と思ってしまった


悲しい人生だ

ということで、諦めることに…


「まあ、多分握力の問題だからなんとかなるでしょ~」


……は…?

握力……?


そういえば、さっき腕相撲をした理由がそうだったな…

腕相撲に半分記憶が持っていかれたような気分だ…


まあ、それはいいとして…


「じゃあ、自分は…どうすれ……?」

「それじゃあ~4人で作戦会議でもしましょ~」


どうやら話を聞いていないらしい


 …多分… 

 安心して…いいのか…?


 こんな陽キャみたいな集まりの中に入っていけるのか…


 自分は…


「そういえば~ヌノイチさん?でしたっけ~?

 あの人置き去りにしているの忘れていました~」


 と、ヘラヘラとかつ、エアリーはだらーっとしていた

だらーっという表現が常にあるが、本当にずっとダラーっとしている


そんなことはどうでもいい


 そういえばあの人もいたんだった…

自分も忘れるところだった


陰の薄さが段違いじゃないのか……

 

出会って二日目で確信した


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「すみませ~ん

 戻るの遅くなってしまいました~」


 と 

 集合していた部屋についてから、エアリーは布市に謝る


「……」


 布市は何もしゃべらない

 流石に全くしゃべらないっていうのはどうかとは思ったが、


 自分もコミュ障、かつ陰キャ代表なので、同じ状況に立たされたら

 多分同じ反応をするか、変なことを答えて

 陽キャにハブられて居場所がなくなるだろう…


 うん、これ学校時代の自分の話だったね…


 と、頭の中で思わぬ精神的ダメージを食らってしまった

 見事な自爆行為だ


 と同時に、そういえば布市ってしゃべらない感じではなかったような…

 と思ったが、正直出会ってすぐに人を判断するのは良くないと思って

 思考を停止した


「まあ、全員いることですので~

 でもしましょ~」


 作戦会議…?

 なんだそれ…?


 聞いて無い話だな…

 多分、自分が倒れた時に話が進んでいたんだろう…


 と、自分が困っているのを察したのか、

 御園生が説明をしてきた


「あー、そういえば八瀬君は知らないんだっけ?

 そもそも、僕たちはエアリーの父である魔王を倒すために

 ある程度の力が必要なんだ

 それで、僕たちは他の生物を狩る必要があるみたいなんだ」


 なるほど、やっぱりよくありそうなRPG系だな

 召喚されたときに大体察したが、それでも夢のような世界が

 本当にあると断言されたら誰でもワクワクすると思った


 だが…


「あの…私、やっぱりどうしても帰りたいです…」


 と、すっと右手を挙げる人物がいた


さっきまで特に印象の薄かった彼女だった


…?待てよ…


これ、昨日もきいたことがある…

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