二日目④ 『超特典!チートボーナス!』…?

 なぜかついてくる御園生と安立

ただ、自分は、何も聞くことができず、ただただ言われるがままについていった


さっき、エアリーに対してツッコんでしまったことが、


まだ、『出会って一日しか経っていない人』であったことが、


自分という人間を、とても気持ち悪く感じてしまう


他の人ならば、そこまで感じないかもしれない


過剰に反応しすぎだ、と一蹴されるかもしれない


けれど、人と関わることを極度に嫌ってしまった自分にとって


どれだけきつく、どれだけ神経質になってしまうのかも、


誰も分かるはずもない

分かってほしくもない




 自分がエアリーに連れてこられた場所は、『森』だった

さっきいた部屋から、さらに階段を下りた先にあった玄関

挿し木場所から、

裸足で二十歩のところでエアリーは立ち止まった


辺りは木々で覆われて、少しだけ木漏れ日が降り注ぐ

地面は青々とした草が、柔らかく足を包み込む


元の世界と同じような一般的な風景だが、どこか少し異質で、

しかし、どこか懐かしいような場所だった


しかし、ここで何をするんだ?


「あ~、ついたので説明しますね~

ここは昨日、紙に書いてあった、私の母親が魔王から逃げた先

って場所です~よ~」


と、勝手に言ってくれた

なるほど、えっと、確か魔王と悪魔の直轄地…だったか?

その間にある土地だったって…


「それで、今からやることは、って~言ってですね~

『基礎能力』と、『超特典!チートボーナス!』ってのを~は~かる

や~つで~す~」


ツッコんだら負けかもしれないが、『超特典!チートボーナス!』

っていうのが、超頭の悪そうな名前でマジ超ガン萎え!ってのかな!?



おっと、頭の悪さがうつってしまった

こんな名前、誰がつけたんだよ

それと、エアリーはこれを言う時だけ、キャピキャピした声になっていた


少し、キャラが崩壊していそうだ

話は続く


「それでですね~異世界から召喚された人っていうのが~

基本的に『基礎能力』は人並みより少し強いくらいで、

『超特典!チートボーナス!』略して『チーナス!』は召喚された人にしか

与えられない~、希少な能力なんで~す~」


すごく興味のある内容だが、エアリーのしゃべり方で半減、

周りに人がいるので、さらに半減、といったところである


ただ、すごく面白そうな話であるのには変わりない


 多分、『チーナス』とか言われるものが、俗に言われる

『無双』とかなのだろう


これで、強くなれるってところだろうか


それのおまけとして、『基礎能力』が少し強いって感じだろうか


いや、世の中の転生者特典は『基礎能力』、これも強すぎて


無双する話もよくあるからな…


まあ、続きを…


「さっきから、なにをブツブツいってんのー

あー、名前忘れたわ、陰キャでいっか」



安立がしゃべらないな、と思っていたら

いきなり毒舌を吐かれた


独り言が漏れていたらしい

それに名前を忘れられてた…


まあ、そんなもんだろ

陽キャの代表格、ギャルみたいなやつに

抵抗する力もない


「とゆうことで、じゃあ、そこにある木の枝を~折ってくださ~い」


と、何の脈絡もなくエアリーが言ってきた


えっと、多分これだろうか?

20センチくらいの少し長く

直径6センチくらいの木の真っ黒な枝だった

所々、ゲームのエフェクトみたいにキラキラと光っている


「あ、それで『チーナス』の種類を判断するらしいんだ

まあ、何の能力かはランダムらしいけど

あと、エアリーさん、毎回思うんですけど、説明が下手すぎます…」


と、オタクが好きな趣味について語る時くらいに早口で御園生が説明を

付け足してくれた


そういえば自分、さっきからなんもしゃべってない…


これで、自分がチートできるんだろう!

そこからウハウハな異世界生活が待っている!


となることを期待して、両手に力を入れて枝を折っ……


固いな…ふんっ……


折れなかったんだが…



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る