一日目⑥ 始まり

「えっと…結局名前…」

御園生みそのぎが困ったような顔で

自分達を見てくる

仕方ないから自己紹介しよう

自己紹介はさっきと同じだったので省略

 布市も同じで、簡単な自己紹介をした後、

またすぐに黙ってしまった

後は安立だけなのだが…

安立はさっきとは全然違うような反応をしていた

「えーっとね、あーしは、違う、あたしは

安立っていうの…」

 さっきまで布市に対して威圧的な態度をとっていた

人とは別人かのように、御園生に対して

布市や自分と同じような、か弱いアピールをしているのか?

 

 一方、そんなことは一切気づいていない御園生

「そうなんだ、よろしくね!安立さん」

自分たちと同じように接している

よくいる陰キャに対して見下したような人とは違うようだ

 

これから帰れるのかも分からない状況の中で

妙に気合が入っている

いつもの自分ではありえない

でも、ここから変われるかもしれない

今までの何もなかった引きこもり生活から!


喜びで感傷に浸っている自分に向かって、

エアリーがため息をつきながら話しかけてきた

「はあ~、なんでこういう風になるんですかね~

まあいいです、詳しい説明をするのでもう一回ついて来てくださ~い」

 それを聞いた自分たちは、またついて行くことになった

近所でよく見かける、幼稚園や小学校の遠足みたいだ

 何回ついて行かなきゃならないんだ

俺は3回同じこと聞いたわ

 

 ついて行った先には、自分たちがいた部屋とは違う部屋があった

そこは、建物の柱が、ど真ん中にどっしりとそびえ、

その周りにぐるっと囲んだようにバームクーヘン状の円卓

それに五つだけ椅子がある、といった、質素な構造になっている

「それでは、どこでもいいので座ってくださ~い」

そういわれると、真っ先に御園生が一番奥の席に座った

次に、御園生の右横に安立が、左にエアリーが座った

 なんだよ、自分から勧めておいて先に座るのかよ

それに御園生の左右にエアリーと安立がいることで

ますます、なろう系の主人公の風格を醸し出している

なんか釈然としない

仕方ないけど


仕方なしついでにエアリーの隣に座ることにし、

最後に、オドオドしていた布市が、安立の隣に座った

「隣あんたなの? まあいいけど」

安立はまたもや布市に威嚇した

さっきまで何事もなかったのに、またピリピリした雰囲気になってしまった

ここは自分が機転を利かせるしかないのか

怖いけどこの雰囲気が続くよりはいい

「あの…布市さん、席、代わりましょうか?」

安立に話しかけると自分も被害を被ることになるだろうから

布市の方にした

「………うん……」

小さく首を縦に振って肯定した

ということもありながらも、ようやく詳しい話が聞けそうだ


それよりも、この柱が邪魔で前が見えない

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