一日目⑤    *大幅変更しました

 結局、そのあと、特に何もなく

布市ぬのいちのいた部屋からでた


 そこからまた、誰なのか、何のためなのかはっきりしていない

状態で”女性”についていく、という

誘拐に近い形の中、あまりに自分とはかけ離れていることに

少し酔いそうだ


 理由としては目の前の光景だ


自分は、ついさっきまで引きこもりのボッチだったのに

3人もの女子が近くにいる状態だ

 (これって、本でよくある

異世界チート無双、ハーレム、俺なんかやっちゃいました?

っていう展開になるんだろうか…

今までつらいことがいっぱいあった分、

これからウハウハ生活の始まりだぜ!)


 なんて柄にもないことを思う

しかし、そんな妄想もこれで終わることになる

ことなど、微塵も思っていなかった


 次で最後の人になるからなのか、

さっきまでと少し違い、

所々キラキラ光っている扉の前で

 それに、”女性”は安立や布市の時とは違い、

神に祈るようなポーズをとっている


あのダラ—っとした声の主とは思えないほどに

綺麗、いや、見とれるくらいの美しさだった


 そんな儀式(のようなもの?)も終わり

”女性”は扉へと入っていった


そこにいたのは…

男(多分)だった

 ”男”は私服と変わらないような服を着ているが

しかし、普段着としてはゆったりしすぎているから

多分寝巻なのだろう

ベットの上に座っているからそう思っただけかもしれない

体つきも少し細めだが以外に背が高く、

男である自分から見てもなかなかの美形である


(多分)といった理由としては、髪も首のあたりくらいまで伸ばしていて、もっと長ければ女性として見られていても

おかしくない

 容姿は自分とは明らかに別次元だ


 すなわち、さっきまで考えていた『ハーレム』が崩壊した瞬間だった


辺りを見渡し、そのあとに首をかしげてから

”男”がこう言った

「さっきまで寝ていたはずなのにいったい…

ここはどこなんだ?

それに君たちはいったい?」


 わざわざ説明してくれてありがとう

何故だ?釈然としない

同じ人間として思えない


言動も、なんか『なろう系主人公』みたいな感じだし

本当に人間なのかと疑いたくなる

喋るだけでここまで評価するとか


そんなことを考えていると

”女性”はこう言った

「異世界から召喚されし方々、私の名前はエアリー・コスモス・クラキ

どうか、私の父である魔王を倒してください!」


さっきまでと明らかに違う

”女性”、エアリーとようやく名乗ったこの人は

ついでに詳しい目的も話してくれた


 さっきまでダラーっとしてたので違和感があ感があり気持ち悪かったのだが

それよりも気になるのが…

 そもそも魔王が父って…どういうことだ?

『勇者』と言われた自分達に言うことなのか?


 正直、あまりにいろいろと予想外のことがあり

みんな思考停止をしているみたいだ


と、ここで安立が口を開いた

「結局、エアリー、だったっけ?

ここが異世界で、私たちに、君の父親である魔王を

倒せってことなの?さっきまで話してくれなかったのってなんで?

…っていうかんじ~?」

 

 最初は割と普通だったのに

またすっごく馴染みにくいしゃべり方

をしているが、それは後回しだ


みんな喋り方に特徴ありすぎだよ


 なんで話してくれなかったのか、確かに気になる

 何かとても重要なことじゃないんだろうか?



「ああ、それですか

さっき言った通り4回も言うのめんどくさいんですよ~」


「それだけかよ…」

しょうもなすぎる理由に思わず口がでた


「それで、君たちはその、”えありー”って人の仲間ではないのかい?

そういや僕の名前を言うの忘れてたよ

僕は御園生みそのぎりょうっていいます

君たち、名前はなんていうんだい?」


自分とは違う感動するくらいの文字数

かつ、華麗な自己紹介と名前の聞き方!


というよりさっきの情報だけで何が起こったのか把握したのか?

見るからに陽キャかつ、本当にどこかの主人公のような人物だ


ともあれ


どこかやる気のない魔王の娘?、エアリー


引きこもりの陰キャ、自分


ギャルっぽいけど、どこか違和感がある、安立


そういやさっきから一言もしゃべっていない、布市


そして見るからに自分と正反対

何でも完ぺきにこなしそうな、御園生

 

このメンバーでエアリーの父親である魔王?(よくわからないが)

を倒しに行くようだ


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


と、ここで一旦、パソコンを打つ手を止めた。

 前から興味はあったものの、少し自信がなかった。

それでも、なぜかこれだけは自信がある。


『投稿』のボタンを押そうとする。

手が震えている。

初投稿ってこんなに緊張するんだな

ただの自己満足かもしれないけど。


 それに、未だに考えている。

本当にこんな”夢”があったのか?

たった一つの記憶で、しかし何故か忘れることのできないような記憶がある。

それだけを頼りに、キーボードを打っていた。

なんとも曖昧だが、そうとしか言いようがない。

何せ”ショウコ”が一切ないから

 

 いろんなことを考えながら、僕はボタンを押した。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 その頃

八瀬樫尾の知らないところで…


ウェブ小説を眺めていた少女、

いや、少女と呼ぶのは失礼かもしれない

 二十歳を少し過ぎた人が、寝る前の日課として

一つのウェブ小説を読んでいた

今日も ”新人” の新作を読んでみたい気分だった

検索すると数百件出てくる

 才能はどこかに埋もれているもの

そう信じ、読むが、どうもイマイチだ


今読んでいるこの小説も、結局ありきたりな感じだ

 諦めようとしたとき

「ふーん」


無関心のようだが、内心では実は驚いている

 今読んでいるものは、文章力も壊滅で表現も薄く、語彙力もあったもんじゃない

作品だった

 しかし、ただの偶然かもしれないが、『エアリー』という人名に目を引かれた

本当にそれだけだった

 

 ただ、普通の人とは違い、なぜかこの人名に、とんでもない悪感情があることを

除く


「まぁ、違うかもしれないですけどね~

これからの可能性として~」


そんな独りごとを言って、とある作品をフォローした


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 誰も、この頃の僕達は分かっていない

パソコンを打っているこの時の自分も

そして…


『異世界』というものを


”僕たち”を召喚した理由を

たった『一日目』の僕らには分かるはずもないから。

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